力を借りてもまだ
「ひとまず試合終了だな。」
時刻は午後2時50分。
5分と持たずに全滅した理沙達によって試合の結果は明らかになってしまった。
「まさかこれほど一方的な試合になるとは思っていなかったのだが…。」
予想外の結果によって戸惑いを感じる様子の宗一郎は、
美春の勝利を認めながらもどうすればいいのかを悩んでいるように見える。
「彼女達の力を借りてもまだきみの力の底は見えないということか。」
…そのようだな。
理沙達の実力では美春の実力を計れなかったからだ。
まともに戦えば美春が圧倒的に不利なのだが、
知り合いが相手ではどうしても緊張感が欠けてしまうのは仕方がない。
唯一、里沙だけは本気を出そうとしていたようだが、
他の対応が遅れていたのも問題だろう。
…とは言え、他に使えそうな人材がいないのならどうしようもないか。
あまりにもあっけない幕切れによって深々とため息を吐く宗一郎だが、
だからと言って里沙達を責めるわけにもいかないからな。
素直に美春の勝利を認めることにしたようだ。
「正直に言ってこれでは試験の意味をなさないわけだが、今更やり直しなどと言えるわけもない。試合に勝利した以上はきみの合格を認めよう。」
すっきりとしない結果に悩みを感じる様子の宗一郎だが、
やり直しをさせるために理沙達をたたき起こしても結果は目に見えているからな。
試験の継続は諦めることにしたようだ。
「もはやきみに勝てる生徒など御堂君くらいだろうが、彼は彼でこのあとに試験が控えているからな。もはやきみに関しては手のうちようがない。」
美春の試験は事実上不可能ということが判明した。
その結論に達した宗一郎は試験の終了も認めることにしたようだ。
「鈴置美春君。きみの卒業試験はこれにて終了とする。のちほど修了式を行うが、それまではゆっくりと体を休めると良い。」
「は、はいっ!ありがとうございます!!」
宗一郎の認定を得たことで全ての試験が合格になった。
「やった~!!」
跳び跳ねるほどの勢いで喜びをあらわにした美春は、
ついに卒業の二文字を手にいれることが出来た。




