暴力女の本領発揮
真っ先に理沙が力尽きた。
そのあとで周囲の状況を確認する美春が他の生徒達に視線を向けてみると。
「うわぁ~。ちょっと、やりすぎたかしら…?」
すでに百花も由佳里も戦闘不能に陥っていて、
木戸祐樹と須玉聡美も何もできないまま意識を失っていた。
「ご、ごめんね…。」
意識を失っている里沙達には聞こえていないはずだが、
それでも謝らずにはいられなかったのだろう。
美春が意識を失っている理沙達に謝罪したことで、
森下千夏だけは楽しそうに笑いながら話しかけてきた。
「さすがじゃない、美春!!暴力女の本領発揮よねっ!」
「ちょっ!?う、うるさいわね!!ほんのちょっと、威力の調整に失敗しただけよ!」
「ほんのちょっと?」
「…うぅ~。」
親友からの指摘に反論できない様子の美春だが、
それでも俺達との話し合いによって魔法の使い方を理解しつつあったのだろう。
今回の試験を実験場と考えてオーラを発動していたようだった。
「こ、このくらいなら耐えきれるかな~?って思ったのよ!」
一応、理沙達の実力を信じて魔法を使っていたようだな。
だが、実際には理沙達の許容範囲を遥かに大きく越えてしまって、
一撃で戦闘不能に追い込んでしまったということだ。
「こんなことになるなんて思ってなかったのよ!」
「…ふむ。まさしく天城君並みだな。」
必死に言い訳する美春だったが、
黙って様子を見ていた宗一郎は恐怖の眼差しを向けていた。




