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THE WORLD  作者: SEASONS
5月15日
4627/4820

理沙達との戦い

時刻は午後2時47分。


理沙達との戦いによる卒業試験が開始された。



「それじゃあ、久々に全力でいくわよっ!!」



炎と水の力をあわせ持つ杖。


ヴァンガードを生み出した里沙が両手で構える。


その前方で氷剣グラディウスを構える由香里と、

聖剣プリンセスガードを構える百花が美春の行く手を阻む。



前衛と後衛がしっかりと分担された安定した布陣だった。



「…見てるだけで圧巻よね。」



正面の百花と由香里。


その背後で控える理沙。


そして後方援護に徹する木戸祐樹と須玉聡美。



ジェノス魔導学園において最も戦闘能力が高い特風の生徒と向き合う美春は、

その手に握りしめる扇に最大限の魔力を込めようとしている。



「学園最上位の生徒が相手でも、ここで逃げるわけにはいかないのよ。」



…ああ、そうだな。



里沙達は強者だが、

絶対に勝てない相手ではない。



少なくとも俺や御堂なら単独で撃破出来る相手だ。



そしてその程度の実力を持たなければ、

これから始まる新たな戦いにおいて生き抜くことは出来ないだろう。



「負けるわけにはいかないのよ…。」



次の舞台に歩み出すために。


美春はもてる全ての力を解放しようとしていた。



「サンクチュアリ!!!」



煌めく奥義から生み出したのは最大級の防御結界だ。


御堂の力さえも封じ込める結界が会議室全体に広がっていく。



「これで全力で暴れられるわ。」



周囲の被害を考える必要がなくなったことで、

周りに気を遣う必要もなくなったからだろう。


戦いに集中し始めた美春は勝利を手に入れるための手段を考えることにしたようだな。


だが、そんな美春の行動が里沙には気に入らなかったようだ。



「…ちょっとカチンってきちゃうのは私だけ?」



部外者である宗一郎達は美春の心遣いに感謝しているようなのだが、

当事者である理沙の機嫌は急速に悪化していった。



「周りに気を使う余裕があるなんて、なんだか腹が立つわね!!」



攻撃に集中せずに防御を優先した美春の行為に苛立ちを感じたのだろう。


理沙は火の鳥を生み出してからすぐに美春に向けて飛翔させた。



「全力でぶち抜くわ!!これで燃え付きなさいっ!!!」



怒りを込めて放つ精霊。


灼熱の熱気が室内に広がるよりも早く、

火の鳥は美春の体を飲み込んでしまう。



「………。」



美春を中心として激しく燃え上がる火柱。


だが、炎の内部から美春の悲鳴は聞こえない。



「…まだ足りないわ。」



炎の直撃を受けていながらも、

美春はしっかりとした足取りで歩みを進めていた。



「う、うそでしょ…っ?」


「理沙の攻撃が…通じないのね。」



美春の冷静な行動を由佳里と百花は冷や汗を流しながら眺めている。


いや、どちらかと言えば恐怖すら感じているのかもしれないな。


そんな二人に向かって、

美春は静かに歩み寄っていく。



「御堂先輩の魔術に比べれば、まだまだ優しい炎ですよ。」


「はぁぁぁっ!?」



美春の宣告によってさらに苛立ちが増してしまったのだろう。


理沙が更なる追撃を行おうとしていたのだが、

その前に由佳里が覚悟を決めたようだった。



「こうなったら行くしかないわね!!全力で放つ、鎌鼬かまいたちっ!!!」


「私達も援護するわよ!」



由佳里に続いて駆け出す百花だが。



「…誰にも邪魔させないわ。」



二人が接近する前に美春の魔術は完成していた。



「オーラ!!!」



光系統の最上級魔術だ。


美春の魔術が発動した直後に、

至近距離にいた由佳里と百花の体があっさりと吹き飛んでしまった。



「ちょっ!?」


「威力の…桁が!」



発動の余波だけで吹き飛んでしまったようだな。


後方に控えていた理沙の横を通りすぎて室内の奥まで吹き飛ばされた二人の体が壁に激突した瞬間に。



「光で包んであげるわね。」



美春の魔術が解き放たれて、

理沙達の体も飲み込んでいった。



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