5人は終了済み
「さて、ひとまず鈴置君の受賞を祝福したいところなのだが、その前にまだやるべきことがある。」
ゆっくりと話し出した宗一郎の言葉をきっかけとして拍手を止める御堂達。
数多くの仲間達に囲まれながらも再び緊張感を感じ始める美春に宗一郎が宣言する。
「さあ。ここからが本題となるわけだが、きみは基本的な試験の内容を覚えているか?」
「え?っと…それは…10人の試験官どうこう…という内容ですか?」
「ああ、そうだ。そしてすでに5人は終了済みだ。」
…なるほど。
鎌田達5人の生徒を治療したことで、
美春の課題は半分が終了したということだろう。
「そして残る5人だが…。丁度この場には5人いるわけだ。」
「…え?」
宗一郎の言葉を聞いて周囲を見回す美春だが。
現時点で会議室にいるのは宗一郎と琴平重郎に御堂と森下千夏。
さらには理沙や百花に由香里や木戸祐樹と須玉聡美も同室していて、
眠りについたままの鎌田達もいる。
「え~っと。どう見ても5人どころじゃないと思うんですけど…?」
明らかに人数の計算が合わないと考える美春だが、
理沙は真っ先に気付いたようだな。
「あ~。やっぱりそんな感じなのね。」
「え?」
「1対1を5回する気はないってことね。」
「は?」
5人という計算方法に気づいて呆れ顔を見せる理沙の言葉を聞いて、
美春も答えに気付いたようだな。
「…って?え?嘘…ですよね?芹澤さん達と戦うんですかっ!?」
「何か問題でもあるか?」
慌てて問い詰める美春に宗一郎があっさりと問いかける。
「きみの実力を考慮した上での判断だったのだがな。」
「む、無茶苦茶です!!芹澤さんだけでも十分怖いのに、矢野さんと和泉さんまで同時なんて勝てるわけがないですっ!!」
必死に抵抗する美春だが、
宗一郎は強引に話を進めてしまう。
「やってみなければわかるまい?きみが勝ち残れるかどうかは正直わからないが、ここまでしなければきみの実力は測れないのだ。」
「そ、そんなことはないと思うんですけど…?」
「きみがどう思うかは重要ではない。肝心なのはきみの実力を見定めることにある。」
「………。」
勝ち負け以上に重要な課題を宣言した宗一郎が第二の試験を発表する。
「芹澤里沙、矢野百花、和泉由香里、木戸祐樹、須玉聡美、以上5名の生徒と戦闘し。その結果によって鈴置美春の試験を終了とする。」
「う、嘘ですよね?」
「異論は一切認めない。双方共に全力で健闘するように。」
一歩的に宣言してから離れる宗一郎。
その行動の最中に琴平重郎や御堂達が鎌田達の輸送を開始して、
会議室の中央付近には美春と理沙達だけが残った。




