文句なしの満点
「鈴置さんの実力に関して言うべきことはなにもありません。」
すでに完治している5人の生徒の姿を確認したからだろう。
琴平重郎が美春の試験結果を判定する。
「文句なしの満点です。そして今日この瞬間から魔術医師を名乗ることを認めます。」
ポケットの中に隠し持っていたのだろう。
琴平重郎は『赤十字』の勲章を美春に差し出した。
「これは魔術医師の誇りを示す物です。この勲章を持つことで貴女は一人前の魔術医師として認められます。」
「これを…私が?」
「貴女には十分すぎるほど医師としての資格があります。まあ、これはマールグリナ医術学園用でして、本来ならこの勲章の裏にはジェノスの刻印が入っていなければいけないのですが、その程度の違いは誰にも気づかれないでしょう。」
「あ~、学園違いなんですね…。」
「竜の牙の襲撃によって学園の保管庫も被害を受けたようで、この手の物資が足りないそうです。ですから今回は私が所持している物をご用意させていただきました。」
「…なるほど。」
「まあ、一時的な代用品と思ってもらっても構いません。正式な勲章はいずれ宗一郎が用意してくれるでしょうから。」
「あ、はい。分かりました。」
ひとまず一時的な代用品として赤十字の勲章を手渡す琴平重郎に魔術医師として正式に認められた美春は、
受け取った勲章を制服の胸元に取り付けて誇らしく胸を張った。
「これで一つ目、ですね。」
二つの試験の一つを終えて満足そうに微笑む美春は、
声援と拍手を送る御堂達に囲まれながら喜びを噛み締めるかのように胸元の勲章をそっと握りしめていた。




