崇拝
特別風紀委員専用の会議室。
通称『特風会』と呼ばれる場所で行われることになった美春の試験。
その一連の流れを秘宝を使って観察しながら竜崎雪の精霊によって盗聴する中で、
簡単な挨拶を終えた宗一郎が試験の内容を話し始める。
「さて、いよいよきみの最終試験が始まるわけだが、先程希望していた通り『医術』と『魔術』の検定でいいのだな?」
「はい!私はどちらの試験も受けたいと思います。中途半端と思われるかもしれませんが、これが私の選んだ道ですから。」
本来ならどちらか一方だけを選択して行われる試験。
それでも二つを願う美春に宗一郎が最終確認を行ったのだが、
すでに美春に迷いはない様子だった。
「私はどちらの道も極めたいです。例え周りからどう思われるとしても、私は彼を支えられる人間でありたいと思います。」
………。
美春が思う人物が誰なのかは考えるまでもないな。
「なるほど。全ては彼のためか…。きみも随分と彼を崇拝しているようだな。」
「ええ、そうですね。御堂先輩が望むように…。そして翔子が愛したように…。私も彼を支えたいと思っています。」
「ほう、いい覚悟だ。」
「ありがとうございます。」
宗一郎と美春の二人が共に微笑み合う。
そうして互いに共通の人物を思い浮かべる中で。
「お待たせしてすみません。」
突如として御堂が特風会に姿を現した。




