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THE WORLD  作者: SEASONS
5月15日
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出来ないと思えば

…竜崎、聞こえるか?



魔術による通信。



この方法は竜崎雪もまだ体得していない特殊な方法なのだが、

それでも竜崎雪は俺の呼び掛けに即座に答えてくれた。



『あ、はい。聞こえます。その声は天城さんですね。…というか、この通信魔術を使えるのは今のところ天城さんと深海さんだけだと思いますけど。』



そうなのだろうか?


実際にどうなのかは俺にも変わらないが。



…その気になればお前にもできるはずだ。



『そうでしょうか?私には難しすぎてどうすればいいのか分からないんですけど?』



…そこまで難しくはないはずだ。



魔力の波動を利用すれば良いだけだからな。



…あくまでも魔力感知の応用だ。


…この程度はお前にもできるだろう?



『たぶん、出来るとは思いますけど…。すぐには無理だと思います。』



…無理、か。



出来ないと思えば永遠にできない。


だが出来ると思えば必ずできる。



…お前の特性なら実現可能な魔術だ。



『そう言っていただけると自信を持てそうですけど…。今はそういう話じゃないですよね?』



…ああ、そうだったな。



竜崎雪の力については今はどうでもいい。


わざわざ話しかけたのは別の理由があるからだ。



…悪いが学園の屋上にいる美春にお前の精霊を送り込んでもらいたい。



『あ、そう言えばもう試験が始まる時間でしたよね?』



…ああ、そうだ。



だが俺の魔術では通信はできても会話を聞くことはできないからな。



…千里の瞳と水晶玉によって覗き見ることはできるが、会話の内容がわからない。



『そこで私の出番なんですね。』



…そういうことだ。


…俺が精霊を送り込めば誰かに気づかれる可能性があるからな。



『そうですね。特にあそこにはすごく勘のいい人がいますから。』



…ああ。



美春の対戦相手として呼び出された長野敦也の天敵。


芹澤里沙せりざわりさ』がいる。



…理沙に気づかれるような失敗をすることはないと思うが、万が一という可能性もあるからな。



特風という立場上。


御堂に近い場所にいる理沙に俺の存在が気づかれてしまうのは今後の計画上都合が悪い。



…だが、お前の精霊なら学園内のどこにいたとしても怪しまれることはないはずだ。



ウィッチクイーンの指示だと言えば反論できる者はどこにもいないからな。



…頼めるか?



断られた場合は自分で動くしかないのだが。



『良いですよ♪』



竜崎雪は明るい声で引き受けてくれた。



『お姉ちゃんも興味があるみたいですので、協力させていただきますね。』



どうやら長野沙弥香の許可を得たようだな。


快く引き受けてくれた竜崎雪は俺への返事と同時に二ヶ所に精霊を派遣してくれたようだった。



『校舎の屋上には数秒でたどり着くと思います。ただ、天城さんのいる場所が…というか、栗原さんのいる場所が少し遠いので時差があるかもしれません。』



…それはどの程度だ?



『そうですね。こうして返事をしてる間に解決する程度でしょうか。』



竜崎雪の言葉が俺に届くのとほぼ同時に。



「お待たせしました。」



リスの姿を持つ精霊が俺達の足元に接近してきた。



「仕事が早いな。」


「ありがとうございます♪」



素直に褒めてみたからだろうか。


竜崎雪はいつも以上に機嫌がよさそうだった。



「早速ですけど、屋上に派遣した精霊と通信を切り替えますね。」



早々に挨拶をきりあげて特風会の盗聴を始める。


その通信技術は確かなもので、

竜崎雪に呼び掛けてから2分と経たずに美春達の会話を傍受することに成功していた。



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