死を『望めない』
「「カース・オブ・マインド!!」」
無事に五十鈴菜々子に呪いを与えたことで俺と薫の魔術は成功した。
…これで良い。
「これでお前の体内に呪いは刻み込まれた。」
「一体…私に何をしたの?」
まだ生きているという状況が理解できないのだろう。
五十鈴菜々子の瞳には恐怖も敵対心もなく、
ただただ迷いだけが感じられる。
「呪いって…なんなの?」
自分の身体の中で何が起きているのか?
その答えを求める五十鈴菜々子に、
ようやく真実を伝えるときがきた。
「説明の前に聞いておくが、お前はまだ心のどこかで死を望んでいるな?」
「………。」
「二人の男を守るために自ら捕虜になったのは良いが、それでもお前はまだ自分を殺してくれる誰かを求めていたはずだ。」
「………。」
肯定はしなかったが否定もしなかった。
その沈黙を肯定として話を進めていく。
「お前はまだ死を望んでいる。この世界から消え去ることを望んでいる。」
「…だったら、だったら何だっていうのよっ!!」
「言ったはずだ。俺はお前を死なせない。そのためにここにきたと。」
「貴方に何ができるっていうのよ?ここで一生、私を監視し続けるつもり!?」
「いや、その必要はない。俺はすでにお前に呪いを与えたからな。決して死を『望めない』という呪いをだ。」
「死を…望めない?」
…そう。
「お前はもう自分を殺すことができない。」
「自殺できないっていうこと?」
「いや、そうじゃない。自らの死を受け入れられなくなったということだ。」
「意味が…わからないわ。」
「その意味に気づいたときに、お前はお前の意思で死ぬことができなくなる。」
「…一体、私に何をしたの?」
繰り返される質問。
その問いかけに。
「お前を苦しめる過去を破壊した。」
魔術の意味を答えることにした。




