忙しい状況で
………。
そろそろだろうか。
研究所の入り口で足止めを受けてからおよそ5分が過ぎた頃。
「すまない。待たせたな。」
呼び掛けに応じて駆けつけてくれた黒柳が俺達の前に現れた。
「きみが戻ってくるとは思っていなかったから少し驚いたが、俺に出来ることなら協力させてもらおう。」
「…ただでさえ忙しい状況で無理を言ってすまない。」
「ははははっ!気にするな。」
不満など一切口に出さすに笑顔で接してくれる黒柳の寛大さには敬意さえ感じてしまう。
「色々と機材の都合でこっちに戻ってくる用事があったからな。あまり余裕はないが1時間程度ならなんとでもなる。」
…1時間か。
それだけあれば十分だ。
ここでの用件は30分もあれば終わるだろうからな。
「それほど時間をとらせるつもりはない。」
「そうか。それなら良いんだが、どこに向かうつもりだ?いくら俺が道案内をすると言っても研究所のどこでも…と言えるほどの権限はないぞ?」
…権限か。
黒柳の権限というものがどこまで適応されるのか興味はあるが、
それを知ったところでどうにかなるわけではないからな。
今は目的地に行けるかどうかだけを聞かせてもらおう。
「行きたい場所はただ一つ。」
優奈達もまだ俺の目的を知らない状況だが、
俺が向かうべき場所は黒柳がいれば間違いなくたどり着ける場所のはずだ。
「兵器の研究所に行きたい。」
「………。」
俺の発言を聞いた黒柳が一瞬だけ戸惑いを見せたのだが、
その理由がどうしてなのかはすでに予測しているからな。
「気にするな。」
余計な気を遣わせないために、
先に声をかけておくことにした。




