4578/4820
姉弟揃って
………。
俺と優奈が歩みを止めてからおよそ2分後。
今まで別行動をとっていた竜崎達が俺達の前に現れた。
「やあ、ひさしぶりだね。」
…ああ、そうだな。
長野敦也と違って、
竜崎慶太は笑顔で接してくる。
後ろに控える竜崎雪も優奈に対して微笑みかけているのだが、
唯一、長野沙弥香だけは微妙な距離感を保っているように見える。
…姉弟揃って行動がよく似ているな。
必要以上に接しようとはしない心の壁のようなものが見てとれるからだ。
…敵対はしないが、馴れ合う気もないというところか。
こちらから宣戦布告しているために当然と言えば当然の結果なのだが。
他の誰よりも竜崎兄妹を守ることに専念している長野沙弥香は、
俺や優奈の行動に関して常に警戒している様子だった。
…だからと言って実害があるわけではないからな。
長野沙弥香に関しては特に気にする必要はないだろう。
それよりも今は竜崎慶太と話し合うのが優先だ。
長野紗耶香に関しては無理にもめる必要はないと判断してから、
竜崎慶太に話しかけることにした。




