さらに来客
…ふう。
…もうすぐ研究所に戻れるな。
長野敦也との話し合いのせいで予定よりも少し遅くなってしまったが、
どうにかお昼までには研究所に戻ることができそうだった。
「もうすぐお昼ですね。」
…ああ、そうだな。
頭上に輝く太陽を眺めていた優奈は、
ゆっくりと視線を下ろしながら現在の時刻を確認してくれた。
「午前11時27分。思っていたよりも遅くなったので、薫さんと美春先輩はもうすぐ到着されると思います。」
…やはりそうか。
本来なら俺達のほうが早く着くはずだったのだが、
長野敦也との遭遇によって足止めを受けたせいで薫達とほぼ同時刻に到着する結果になってしまったようだ。
「二人の魔力の波動が近いな。おそらくあと数分で到着するだろう。」
「あ、はい。そうですね。でも…。」
「ああ、さらに来客だ。」
まもなく研究所に到着するという状況で再び足止めを受けそうだった。
…だがあの3人なら、それほど時間をとられることはないだろう。
まだ少し離れた場所にいる薫と美春が到着するまでの時間潰しにはなるかもしれない。
「おそらく長野敦也から情報が流れたんだろうな。」
「あ、はい。そうみたいですね。私の魔力の波動の情報を得た長野沙弥香さんが私を追跡していますから。」
…やはりそうか。
「だが長野沙弥香は弟ほど追跡が得意ではないだろうからな。下手に動き回るよりもここで待っていたほうがいいだろう。」
「ええ、そうですね。だいぶ距離も近いですし。もう1、2分で合流できるとい思います。」
「分かった。まずは一度、竜崎達と話し合おう。」
竜崎慶太と長野沙弥香。
そして竜崎雪がまもなく訪れるようだからな。
大人しく3人の合流を待つことにした。




