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何を望む?
「さすが…と、言うべきだろうな。翔子が惚れるのも頷ける。」
………。
俺と向き合いながらも視線を合わせることは避けるかのように視線をさ迷わせる長野敦也は、
挙動不審と言うよりもどうしていいのかが自分でも分からないという雰囲気を感じさせた。
…自分でもまだ心の整理が追い付いていないのかもしれないな。
俺と接触する唯一の機会と感じて飛び出してきたようだが、
実際にどうするかまでは考えていなかったように思える。
それでもこうして俺達の前に立ち塞がったからには、
何らかの答えを望んでいるはずだ。
…お前は何を望んでいる?
今ここで翔子の精霊を見せることは容易い。
すでに心は失われているが翔子の姿は見せられる。
だが、そんなことをこの男が望むとは思えない。
少なくともそんな偽りの姿で長野敦也の心は救えないだろう。
…何を望む?
昨日の夜に発動した魔術で長野敦也はどんな夢を見たのだろうか?
その内容までは俺にも分からない。
「お前の想いは…どこにある?」
分からないから率直に問いかけることにした。
そんな俺の問いかけをきっかけとして、
長野敦也は自らの想いを話し始めた。




