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THE WORLD  作者: SEASONS
4月10日
457/4820

教師役は…

《サイド:深海優奈》


午後7時20分頃。


晩御飯を食べ終えた私と悠理ちゃんは寮に向かって歩いている途中です。


「疲れたね、悠理ちゃん」


「ホントに~。丸一日、図書室で過ごした気がするわ。なんかもう二度と勉強はしたくない!!って感じよね」


「あ~、うん…。」


…ですね。


激しくため息を吐く悠理ちゃんの気持ちは私も凄く分かります。


常盤先輩が教えてくれている間は楽しかったんですけど、

常盤先輩のいない勉強は正直楽しくないからです。


分からないことを調べようにも、

まず何から調べればいいのかが分からなくて、

どうしていいのかも分からないっていう感じでした。


もちろんここは学校ですので、

素直に教室で先生に教えてもらうことも出来ます。


ですが。


以前そうしようと思って教室に行った時に何を話しているのかさっぱり理解出来なくて、

話についていけなかった経験があるんです。


「やっぱり。誰か教えてくれる人がいないとダメだよね~」


「うん」


悠理ちゃんの言葉に頷きます。


ホンの数時間でしたが、

常盤先輩が先生になってくれたことがすごく身に染みたんです。


独学も良いとは思うのですが、

やっぱり教えてくれる人がいたほうがはかどると思いました。


「明日は無理かな~?」


「毎日は無理だと思うよ?」


「だよね~。誰か他の人でも良いんだけどね~。翔子先輩とか御堂先輩とか」


確かに先輩達にお願いするのも良いとは思うのですが。


個人的には総魔さんにも教わってみたい気がします。


同じ日に入学したとは思えない勢いで様々な魔術を扱える総魔さんなら、

きっと先生としても十分だと思うんです。


それに。


お願いしたら普通に引き受けてくれそうな気がするのですが…。


無理でしょうか?


一度、聞いてみるべきでしょうか?


なんて。


総魔さんのことを考えている間に、

今日もまた寮の前までたどり着いてしまいました。


「どう、優奈?今日も泊まっていく?」


「いいの?」


「いいわよ。一人よりも二人のほうが楽しいし」


「うん♪じゃあ、行くね!あ、でも今日はちょっと荷物を取りに行っても良い?」


「いいよ」


「じゃあ、すぐに取って来るね!」


悠理ちゃんを残して、急いで自室に向かって駆け出しました。


今日も悠理ちゃんのお部屋にお泊りです♪


そう考えるだけで嬉しくて仕方ありません。


慌てて部屋に帰った私は、

必要な荷物をまとめることにしました。


一通りの荷物は鞄の中に入っているのですが、

今日は素直に着替えも持っていこうと思います。


大急ぎで荷物を鞄に詰め込んでから、

悠理ちゃんのもとに駆け戻りました。


「…はぁ…はぁ…。お待たせ、悠理ちゃん!」


「早かったわね。大丈夫?」


息を切らせる私を心配そうに覗き込む悠理ちゃんですが、

私は精一杯の笑顔で微笑んでから悠理ちゃんと手を繋ぎました。


「大丈夫だよ。行こう!悠理ちゃん♪」


「おっけ~!」


悠理ちゃんと二人で歩き出します。


少しでも長く楽しい時間が過ごせるように。


今日も悠理ちゃんのお部屋に向かうことにしました。


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