家を丸ごと
「それほど重要なことではないのだが…。米倉美由紀はどうしている?」
宗一郎に問いかけるよりも優奈に秘宝を使って調べてもらったほうが圧倒的に早いのだが、
今は目の前に宗一郎がいるわけだからな。
わざわざ覗き見る必要はないだろう。
「今は研究所にいるのか?」
「あの子なら今頃は研究所だろう。美由紀の家をあの子に譲ったからな。毎日家から研究所に通っているが、午前10時に出勤することになっているから今は研究所にいるはずだ。」
…やはりそうか。
魔術士ではない米倉美由紀の居場所は俺にもわからない。
だから問いかけたのだが、
予想通り研究所にいるようだった。
…それにしても、家を丸ごと譲ったのか。
今まで出会わなかったのは米倉美由紀が家にいたからで、
俺や優奈とは入れ違いに研究所に出勤したということだろう。
「現在も兵器の研究は続けているんだな?」
「ああ、そうだ。興味があるのか?」
「…少なからず興味はある。」
「だったら研究所に行ってみるといい。ルーン研究所の地下で研究は行われているからな。」
「ああ、分かった。」
すでにグランバニアでも聞いていた話だが、
兵器の研究は今でもルーン研究所で続けられているらしい。
「その確認のために研究所に戻るつもりでいたからな。」
「なるほどな。だから研究所の付近にいると言ったのか。」
「ああ。」
「ふふっ。きみらしいというべきか。常に先を考えて行動しているのだな。」
「…どうだろうな。」
「ははっ。まあいい。ひとまず今はきみを見送ろう。」
「すまない。」
「気にするな。助けられているのはお互い様だ。」
…かもしれないな。
俺も宗一郎もお互いに手を借りて計画を進めているからだ。
「後程合流しよう。」
「ああ。」
次の目的へと動く俺を宗一郎は笑顔で見送ってくれていた。




