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二つの道
「まあ、それぞれに思うことはあるだろうが、どういう道を選んだとしても自分自身が納得できる結果を出せればそれでいいのだ。きみ達はきみ達の自由に生きれば良い。もちろん必要としてくれるのであれば俺もきみ達に力を貸すつもりではいるがな。」
薫の気持ちも美春の気持ちも否定せずに全ての想いを認める宗一郎は自らの想いを宣言してから話を再開した。
「それでだ。肝心の鈴置美春君に関してだが、こちらは試験内容が複雑なために予定としては午後2時から試験を行う段取りになっている。」
…ん?
試験が複雑と言うのはどういうことだろうか?
「何か問題でもあるのか?」
美春の試験に関しては特に手出しをしていないために通常通り行われると思っていたのだが、
宗一郎の話ではそうではないように聞こえてしまう。
「何かあったのか?」
「…問題と言うほどではないのだが、鈴置君は『二つの道』を選んだのだ。」
俺もまだ把握していない内容を問いかけてみると、
宗一郎は美春の決断も聞かせてくれた。




