表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
5月15日
4549/4820

便利な能力

「優奈。」


「はい?」



呼びかけたことですぐに足を止めて振り返ってくれたのだが、

優奈は不思議そうな表情で俺を見上げていた。



「どうかされましたか?」


「ああ、まあ、な。」



おそらく御堂達との接触を避けるために秘宝による探索に集中していたことで現在の状況が把握出来なかったのだろう。



戸惑う様子の優奈のために、

現時点での出来事を説明しておくことにした。



「美春が俺達の接近に気付いて監視していたようだ。」


「え?美春先輩がですか?」


「ああ、一応簡単な説明だけはしておいたが、さすがにあの瞳から隠れるのは難しいな。」


「…ですよね。効力そのものは限定的でも、有効範囲内だけで考えれば私が預かっている秘宝と同様の能力があるわけですから、美春先輩は凄いです。」



…ああ、そうだな。



美春の神眼は俺達の魔力の波動がどうかに関係なく、

全ての存在を見通すことが出来ると思われる。



ほぼ無制限に近い秘宝ほどではないにしても、

目視できる範囲内での美春の能力は秘宝に近しいと言えるのかもしれない。



もちろん全く同じではないから秘宝のように何もかも見通すことは出来ないと思うが、

特定の条件さえ揃えっていれば様々なものを見通すことができるはずだ。



「秘宝のように無差別に透視出来るわけではないだろうから、遠く離れた場所の様子を覗き見るほどの強制力はないようだが、一定範囲内の調査や魔術や陰陽術などの特殊な能力の解析は秘宝とほぼ同等の力を持っているようだな。」


「すごく便利な能力ですよね。」



…ああ、そう思う。



「相手が魔術師であれば俺でも同様のことはできるが、美春の場合は相手が魔力の波動を持っていない一般人でも位置の特定ができるようだからな。その点では尊敬する価値のある能力だと思っている。」



優奈の吸収の能力が俺の力を上回っているように。


美春の感知能力も俺の力を上回っているということだ。



「美春が敵でなくて良かったと思うが…。」



おそらくは現在も行方をくらましている矢島美咲も同種の力を持っているはずだ。



…向こうは光の力ではなくて闇の力だと思うが。



美春とは対極に位置する力。


闇の力によってあらゆる闇を見通すことが出来ると思われる。



…有効圏内がどの程度かは推測さえ出来ないな。



現時点では推測さえ出来ない存在だった。



「美春もそうだが、矢島美咲のように隠れた実力者はまだまだ各地に存在するのかもしれない。そう考えれば俺達もまだまだ成長できる可能性が十分にあるはずだ。」


「ええ、そうですね。クイーンさんや竜崎さんもそうですし、御堂先輩もすごく強いですから。」



…ああ、まだまだ見習うべきことは山のようにある。



それらを一つずつ身に付けて全ての能力を極めた先に俺が望むべき頂点があるのかもしれない。



単に魔術師としての頂点に立つことが最終的な目標というわけではないものの。


それも一つの目的ではあるだろう。



望むべき全ての存在を守るためには、

その程度の力が必要になると考えている。



「現時点で俺達は魔術師の頂点にいるかもしれないが、それはまだ暫定的な地位にすぎないからな。今よりも確固としか存在になるためには、今以上に努力しなければならないだろう。」


「共和国を守るために…ですよね。」


「あるいは俺達が望む世界を守るために、というべきかもしれないが。」


「…そうですね。」



俺の一言一言に頷いて、

しっかりと俺の言葉を理解してくれる。



その理解力の高さがそのまま俺への信頼を示してくれているのかもしれないが、

優奈は楽しそうに微笑みながら目の前に広がる校舎の通路に視線を戻した。



「行きましょう♪大切な想いを守り続けるために。」


「ああ、そうだな。」



これ以上の説明は必要ない。


ここから先は行動で示せばいい。


そうしてたどり着いた先にある結果が俺達の望んだ世界であればそれで十分だ。



「宗一郎に会いに行くぞ。」



まずは手近な目的を果たすために、

理事長室まで急ぐことにした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ