自分で何とかする
「さて…。随分と待たせてしまったが、早急に実験にとりかかろうか。」
西園寺つばめの冷たい視線を気にしないために、
わざと背中を向けながら話し掛けてきた黒柳が実験開始の指揮をとり始める。
「まあ、聞くまでもないと思うが準備は整っているか?」
「ああ、俺は問題ない。黒柳には色々とあるようだがな。」
「は、はは…っ。そこは追求しないでくれ…。」
背後で睨みを効かせる西園寺つばめの威圧を背中でしっかりと感じ取る黒柳は、
一筋の冷や汗を流しながら顔を引き攣らせて笑っていた。
「自分のことは自分で何とかする。それが俺の方針だからな。」
…そうか。
西園寺つばめの説得はあとで自分で何とかするという意味だろう。
そもそも俺にはどうすることも出来ないからな。
二人の問題は二人で解決してもらうしかないのだが。
「それよりも各員準備は良いか!?」
黒柳は話題を逸らすために職員達に問い掛けていた。
「いつでも良いですよ~。」
「「「こちらもです!」」」
まっさきに答える藤沢瑠美に続いて即座に答える職員達。
西園寺つばめを除く全ての職員が準備を整え終えていることを確認した黒柳は満足そうに頷いている。
「良し!それでは実験を開始するぞ!!」
一通りの確認が終わったことで、
ようやく実験開始が宣言された。




