同じ屈辱
魔術の発動と同時に7方向へと飛ぶ極大の炎。
紅蓮の猛火と呼ぶべき巨大な炎は、
校舎の地下通路を煌々と照らしながら周囲を取り囲んでいる生徒達を容赦なく飲み込んでいく。
「ぐっ!?…ぅ、ぁ…っ。い、息が…苦しい…っ!!」
通路への着弾と同時に周辺の空気を巻き込んで激しく燃え上がる炎が、
猛烈な熱気を撒き散らしながら地下の限りある酸素を急速に奪い取っていった。
「死…死ぬ…っ…?」
「う…ぁぁ…っ。」
炎に焼かれ。
熱気に苦しみ。
呼吸さえも封じられて。
次々と倒れていく生徒達。
火柱と化した紅蓮の炎に焼かれて成す術もなく倒れていく生徒達が痛みに苦しみもがく中で、
炎の内部から脱出した渋沢が接近してきた。
「ちっ!バケモノめ…っ!!」
「…まだ無事だったのか。」
「これが無事に見えるのか!?」
怨みを込めた瞳で睨みつけてくる。
その表情は火傷で歪み。
ただれた両腕からはドロドロと熔け出した皮膚が真っ赤な血ともに流れ落ちていた。
「…どう見ても重傷だな。急いで治療しなければ生死に関わることになる。」
「くそがっ!ナメやがってっ!!」
「それがお前達のやり方だろう?」
他者を力で捩じ伏せて自らの自由を押し通す。
そうやって生きてきたはずだ。
「ここまでのことをした覚えはねえっ!!」
…同じことだ。
「自由を奪われた者達からすれば、どちらも同じ屈辱でしかない。」
「ちっ!!!」
「俺を憎んだところで現実は何も変わらないが、その瞳を見る限り心を入れ替えるつもりはなさそうだな。」
「ふざけるなっ!!!!」
「…ふざけているつもりはないが、お前達がこの学園にとって害になるのなら排除するまでだ。」
「この俺を排除するだとっ!?」
「今日ここにいるのが御堂ではなくて俺だったことを不運と思うんだな。」
「俺をナメるなっ!」
言葉を交わすことさえ我慢できなくなった渋沢が瀕死の体で走り出して、
強く握り締めた拳で必死に殴り掛かって来る。
…覚悟だけは一人前だな。
「無理に動けば本当に死ぬぞ?」
「知るかっ!!ここでナメられるくらいなら死んだほうがましだっ!!」
自らの生死よりも自らの意志を貫く。
その誇り高い思いだけは認めても良いと思うが、
歪んだ心で復讐を願う渋沢を見逃す意味はあまりない。
「ここで見逃せばさらなる害悪に育つだけだからな。」
おそらくはこの学園を憎み。
この国を嫌い。
この世界を呪う存在になるだろう。
「お前達はこの学園にとって不要な存在だ。だからこそ今この場所で消えてもらう。」
御堂の足を引っ張りかねない鎌田と渋沢の二人を見逃すつもりはない。
「闇に堕ちろ。そして永遠に消え去れ。」
この国に災いを招く二人に生き残る道はない。
「今日がお前達の命日だ。」
足元に倒れる鎌田と目前に迫る渋沢にしっかりと狙いを定めてから。
「ジャッジメント!!」
最後の審判を二人に下した。




