優奈のために
…ふう。
優奈は眠ったようだ。
ひさびさに両親と再会したわけだからな。
今までの説明に時間がかかったこともあって普段より疲れたのかもしれない。
…それに。
今日が両親と共に過ごす最後の夜になるかもしれないからな。
自分の家で。
自分の部屋で。
ゆっくりと眠れるのは今日が最後の可能性もある。
…最後の夜、か。
次に旅に出た時に再び帰ってこられる可能性はそれほど高くないと思っている。
もちろん死ぬつもりも優奈を死なせるつもりもないが。
大陸南部を離れた先にどれほどの地獄が待ち受けているのか?
それは俺にも想像出来ないからだ。
…これからどうなるかは分からないからな。
これが最後の安眠になってしまうかもしれない穏やかな時間を少しでも長く感じてもらうために。
この町に住む人間の一人として優奈にも幸せな夢を届けよう。
…今は安らかに眠れ、優奈。
…そして夢の中で幸せな日々を過ごせ。
今回の行動は優奈のために。
そして同時に、この町に住む者達のために。
…夢さえも創造する俺の力を示してみせる。
そのために生徒指導室の前に立って、
扉の奥に閉じ込められている生徒達の魔力の波動を解析することにした。




