一連の流れを
…はぁ。
…バカ過ぎる。
自分で自分が情けなくなってくるわ。
…自分の初めてがなくなるだけならまだしも、竜崎さんの初めてを寝ぼけながら奪うなんて。
本気で自分が情けないとしか言いようがないわよね。
「…ごめんね。」
「い、いえ…。良いんです…。」
顔を真っ赤にしながらも気を使って微笑んでくれる竜崎さんの優しさには心から感謝したいわ。
…と言うか、心から謝罪したいわね。
これが馬鹿千夏なら遠慮なくボコボコにするところだけど。
竜崎さんにそんなことは出来ないわ。
「…本当にごめんね。」
「い、いえ…。私なら大丈夫ですから。」
決して怒ったりせずに、
もじもじと照れる竜崎さんは本当に可愛らしいと思う。
だけど今はそんなこと冗談でも言えないわよね。
…はぁ~。
もう本当にどうしていいのかが分からない。
…気まずすぎ。
泣かれなかっただけでもかなり有り難いんだけど。
…どうすれば良いの?
全く記憶がないからどんなキスだったのかも分からないのよ。
だけどそんなことも言えないし。
今はただ謝ることしか出来ないわよね。
「…ごめんね。」
「…いえ。」
「ぷぷっ!馬鹿すぎ…!」
コクンと頷いて私を許してくれる竜崎さんだったけど。
一連の流れをひたすら眺めていた馬鹿は思いっきり笑ってくれていたわ。




