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THE WORLD  作者: SEASONS
5月14日
4413/4820

何もかもが屈折

…徐々に魔術が弱まっていく。



栗原さんだけじゃなくて、

私から見てもはっきり感じ取れるほど魔術の威力が弱まってきているわ。



「先輩は…?」



大破壊の中心にいるはずの御堂先輩はどうなったの?


冬月さんの無事は確認出来てもまだ御堂先輩の安否が不明ということで、

会場にいる誰もが御堂先輩の姿を捜して目を凝らしてる。



そうして誰もが固唾を飲んで見守る中で。



「…先輩。」



御堂先輩がようやく姿を見せたのよ。



…やっぱり、先輩はすごいです。



光り輝く結界を身に纏い。


虹色に輝く聖剣をしっかりと握り締めながら。


大破壊の中心で静かに浮かんでる。



それはまるで神話の世界の騎士のように。



聖剣を携える御堂先輩の姿はどんな絵画やどんなお伽話よりも神秘的で、

何もかもが崩壊した地上に空から下りてきた天使のような神々しい雰囲気さえ感じてしまったわ。



…これは彼とは正反対ね。



御堂先輩の姿はまさしく英雄なのよ。


神の使いと言われれば誰もが納得できるほど輝かしい雰囲気を放っているわ。



…これじゃあまるで魔王に対する勇者って感じよね?



彼とは相反する輝きを放つ御堂先輩。


彼が闇の代表なら御堂先輩は間違いなく光の代表よ。



…彼はこの結末を待っていたの?



疑問に対する答えは分からない。



…だけど。



誰よりも優しくて。


誰よりも厳しくて。


世界を光に導くために神様に等しい力を持って闇の世界を生きる彼と、

世界の闇を断ち切るために悪魔に等しい力を持って光の世界を生きる御堂先輩は何もかもが真逆だと思うわ。



…光を司る魔王と闇を司る英雄。



それがこの世界の頂点に立つ彼と御堂先輩の力。



…何もかもが屈折してるわよね。



魔王なら魔王らしく闇に徹すれば良いのよ。


そして英雄なら英雄らしく光に徹すれば良いの。



それなのに。



…現実は違うのね。



誰よりも優しいから魔王は心を痛める。


そして誰よりも傷付きやすいから英雄は闇をさ迷う。



…完璧な人間なんて、どこにもいないのよ。



彼でさえもきっとそうで。


沢山の迷いや悩みを抱えて生きているはずなのよ。



…だけどそれでも。


…それでも前に進み続けるしかないのね。



迷いや悩みを抱えながら。


幾つもの絶望を抱きながら。


それでも前を向くしかないのよ。



…そうすることでしか守れない何かがあるから。



彼も御堂先輩も戦い続けているんだと思うの。



…だからきっと。



きっとこの結果は彼が望んだ可能性の一つで。


きっとこの結果も彼が望んだ結末なんじゃないかしら?



…きっと、こうなることを考えていたわけじゃなくて。


…こうなることも考えていたってところでしょうね。



ただ一つの結果に導くのではなくて、

幾つもある結末の一つにたどり着いただけなのよ。



ラグナロクに覚醒するか?


別の力に目覚めるか?


それとも全く異なる結末にたどり着くのか?



あらゆる可能性を考慮して組み立てられた計画は、

御堂先輩がクラウニングソードを手にして終わりを迎えたわ。



…これも一つの結末なのね。



何もかもが完璧に動いてるわけじゃないということよ。


あらゆる可能性に対して幾つもの準備を整えることで予測できる範囲内に流れを変えているだけで、

何もかもが彼の思惑通りに動いてるわけじゃなかったと思うの。



…完璧な計画なんてないわ。



本物の神様でもきっとそれは出来ないはず。



もしも出来るのなら誰も悲しんだりはしないし。


もしも完璧な計画や世界があるのなら誰も傷付いたりしないわ。



だけどそんな完璧はどこにも存在しないから、

誰もが悲しみの中でもがき続けるしかないと思うのよ。



…ねえ、貴方もそう思うでしょ?


…ねえ、貴方もそうなんでしょ?



私だけじゃないわよね。


きっと彼も同じように考えているはず。



…ねえ、貴方はどこまで考えていたの?



今回たどり着いた結末とは異なる展開を彼は幾つ考えていたの?



そんな何気ない質問にさえ。



『………。』



彼は何も答えてくれなかったわ。


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