私には10秒間が限界
…はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
…し、死ぬかと思った~。
地面にへたり込んで必死に呼吸を整える。
そんな私のすぐ側には意識を失って倒れてはいるけど救出に成功した冬月さんがいるわ。
…まあ、私の場合は時間との争いだったけど。
冬月さんの場合は生死にかかわる重体のはず。
今はまだ辛うじて呼吸を行ってくれているものの。
あと少しでも遅れていたら本当に死んでいたかもしれないわ。
…あの大破壊の中で即死しなかっただけでもすごいわよね。
私には10秒間が限界だったわ。
それ以上の時間は結界が崩壊してしまって、
堪える堪えない以前の問題として即死していたはずなのよ。
…ホントに。
…まだ生きていてくれたことを尊敬するわ。
即死せずに生きていてくれたことが冬月さんの実力を証明しているとも思うわ。
…さすがは時期女王様。
他の誰かなら確実に死んでいたはず。
そうとしか思えない絶望的な状況から何とか無事に生還できたことで。
…ふう。
少しずつ聴覚が戻ってきたわね。
「やっと聞こえるわ。」
周囲の音がはっきりと聞き取れるようになってきたのよ。
そんな当たり前の出来事によって改めて生きていることを実感していると。
「お疲れ様。」
栗原さんが私の肩をポンッと叩いてくれたわ。
「冬月さんの治療は安心して任せておいてね。」
…え、ええ。
「よろしく。」
今の私には冬月さんの治療を担当するほどの余力がないから。
「生きて帰れただけで十分よ…。」
想いを呟くだけで精一杯だったんだけど。
「まあ、実時間は16秒。無事に帰ってこれたのは魔女達のおかげね。」
栗原さんが実際にかかった時間を教えてくれたのよ。
…えっと?
「16秒?」
予定より6秒も長かったの?
その事実を知って周囲を見渡してみると。
「うわ…っ!?」
今まで気づかなかったけど。
文塚さんを除く4人の魔女が各地で力尽きて倒れ込んでいたわ。
「魔力が尽きたのっ!?」
魔力の波動が完全に消えて一切何も感じ取れないカリーナの魔女達を眺めていると。
「ま、まあ、今回はちゃんと頑張ったんだから…。とりあえず、お仕置きは無しの方向で…よろしく…。」
どうにか救助に成功した冬月さんの姿を確認した文塚さんも魔力が尽きてしまったようで、
意識を失いながらゆっくりと地面に倒れ込んでしまったわ。




