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THE WORLD  作者: SEASONS
5月14日
4410/4820

ほぼ同時

「残り8秒っ!!!」



…う、嘘でしょぉぉぉぉぉぉっ!?



背後から聞こえてくる栗原さんの秒読みを最後に、

爆音の衝撃によって私の聴覚は完全に停止してしまったわ。



…な、何も聞こえない!?



私は声を出しているの?


栗原さんは今も秒読みを続けてくれているの?


何もかもが分からないのよ。



…あ、あと何秒なのっ!?



制限時間は10秒のはず。


たったそれだけの時間は瞬きの間にも過ぎてしまうわ。



…冬月さんはどこにいるの!?



破壊の嵐による衝撃のせいではっきりとした姿が見えない。



結界の外からなら落ち着いて捜せたけれど。


時間に追われている今はそんな余裕なんてないのよ。



…ど、どこにいるのっ!?



魔力の波動を探しながら、

神眼の力で冬月さんの姿を捜し続けてみると。



…いたっ!!!



冬月さんの体は5メートルほど先に見えたわ。



…でも、どう考えても間に合わないっ!



やっぱり10秒という時間は短すぎるのよ。


5メートルの距離を往復するだけで10秒なんて過ぎてしまうわ。



…だ、だけどっ!



諦めるなんてできないから。


そんなことを考えている暇があるのなら、

冬月さんの下へ急ぐべきなのよ。



…くぅぅぅっ!?


…ま、間に合ってっ!



出来る限り小規模の範囲で強固な結界を展開しているのに。


それでも結界が軋むほどの圧倒的な破壊力によって私自身の限界も近づいていく。



そんな厳しい状況の中だけど。



…つ、掴んだっ!!!!



どうにか冬月さんの体をつかみ取ることは出来たわ。



…すぐに脱出しないとっ!!!



すでに何秒が経過しているのかしら?


そんな疑問を感じながらも慌てて背後を振り返ってみると。



…ちょっ!?


…ちょっと~っ!!



すでに結界が塞がりつつあったわ。



…まだ待って~!!!!



破壊の衝撃で舞い踊る冬月さんの体を必死に引きずりながら大急ぎで来た道を戻っていく。



…う、うわあああああっ!?



試合場からの脱出が間に合うかどうか?


慌てて向かう出口に手が届くのと結界の再起動がほぼ同時になってしまっていたわ。



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