他の誰かが
…何をするつもりなの?
冬月さんが何のために左手を突き出したのかしら?
その目的が私には理解できなかったんだけど。
「なっ!?何故だ!?」
冬月さんの左手に視線を向けた御堂先輩は突如として動揺していたわ。
…何なの?
御堂先輩が何に驚いたのかが分からない。
そもそも背中を向けてるから表情も見えないんだけど。
左手を示しただけの冬月さんが何らかの攻撃を仕掛けているようには思えないわよね。
…先輩が攻撃を受けてるわけじゃなくて?
純粋に冬月さんの左手を見たことで驚きを感じているのだとしたら?
もしもそうだとしたら。
…左手に何かがあるの?
御堂先輩が驚いて戸惑うほどの何かが冬月さんの左手に存在しているのかもしれないわ。
…左手に隠されているモノ?
それが何なのかを探ってみようと考えて、
もう一度冬月さんの左手に視線を向けてみると。
…ん?
…あれ?
…って!?
太陽の光を浴びて煌めく存在に気付いてしまったわ。
…まさか?
…まさかあれって!?
御堂先輩が驚く理由が私の推測と同じだとすれば。
この状況は最悪の展開としか言えないわよね。
…冬月さんも持っていたの!?
そんな可能性があるなんて今まで思ってもいなかったわ。
アレは米倉理事長が管理しているものであって、
他の誰かが所持している可能性なんて考えたこともなかったのよ。
…それなのに。
…他にもまだあったの?
詳しいことは知らないけれど。
冬月さんの左手にあるアレが貴重なものだというくらいは十分知ってる。
「シークレット・リング…。」
「ついに冬月さんの実力が明らかになるようですね。」
あまりの出来事に驚いて無意識のうちに呟いてしまったんだけど。
私の言葉を聞いていた竜崎さんは落ち着いた口調で話し掛けてきたわ。




