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立ち上がるのを
「………。」
「………。」
「………。」
冬月さんに心臓を貫かれた御堂先輩が倒れてから30秒くらいが過ぎたと思う。
本来なら即試合終了が宣言されても仕方がない状況なんだけどね。
だけど御堂先輩が必死に立ち上がろうともがき続けているせいか、
すぐに試合が止められることはなかったわ。
それに、何故か冬月さんが御堂先輩にトドメを刺そうともしなかったのよ。
…どうして?
その気になればいつでも御堂先輩を仕留められるはずなのに、
黙って様子を見ている冬月さんに攻撃の気配は感じられないわ。
…もしかして、御堂先輩が立ち上がるのを待ってるの?
他に理由なんて考えられないわよね。
それ以外の理由があるとは思えないわ。
…まだ試合を続けるつもりなの?
もしもそうだとすれば、
冬月さんは冬月さんで何らかの計画を立てているのかもしれない。
…何を企んでいるの?
冬月さんの狙いは何なの?
それ以前に御堂先輩はもう一度立ち上がれるの?
幾つもの疑問が脳裏を駆け巡るけれど。
「さ…さすがに…今の攻撃は焦ったよ…。」
回復魔術を展開する御堂先輩がゆっくりと自分の足で立ち上がったわ。




