気力も体力も最高潮
「ホーリークイーン!!!!」
今まで見失っていたルーンをしっかりと右手で掴み取る。
その直後に少しだけ離れた場所にいる矢島さんと真っ直ぐに向き合うことにしたわ。
「…さて、と。待たせたわね。」
今の私に怪我なんてないわ。
聖域の展開と同時に全ての傷を治療したから体力的には万全と言えるはず。
「ここからが本番よ。」
「…何をしたのですか?」
光輝く扇を構えながら心からの笑顔を浮かべて戦線復帰を宣言してみると、
珍しく彼女から話し掛けてきたわ。
…でも、ね。
「ん~。何だと思う?」
「………。」
わざと意地悪っぽく問い返してみると、
矢島さんは黙り込んでしまったのよ。
…あらら。
機嫌を損ねたかもしれないわね。
そんなふうに感じたりもしたけれど。
…まあ、いっか。
深く追求するのは止めたわ。
「とりあえず勝たせてもらうわよ!!」
気力も体力も最高潮。
彼の期待に応えるために気合を入れて矢島さんに向かって駆け出したわ。
そして矢島さんを撃破しようとしたんだけど。
「…デビル・メイ・クライ。」
私が近づく前に再び闇を生み出そうとしているようね。
…だけど。
闇は生まれないわ。
「ふふん!無駄よっ!!!」
私の結界が試合場を支配している限り。
どんな攻撃も意味を成さないわ。
「私の結界の内部で闇魔術が使えるなんて思わないでね!」
「…どうやら、そのようですね。」
死刑宣告にも等しい事実を自信をもって伝えてみると、
彼女は素直に劣勢を認めていたわ。
「…これが貴女の力ですか?」
「ええ、そうよ。そしてこれが私の全てよっ!!!」
今の私に迷いはない。
自分の将来がどうとか。
過去の出来事がどうとか。
そんなつまらないことでくよくよ考えていた自分がバカバカしく思えるほど。
今の私はすっきりとした気持ちで戦いという舞台と向き合うことが出来ているのよ。
「破邪を超えた光!!!」
天城総魔の導きによって、
私はようやく自分の力に気付いたの。
「私の力は『神眼』!!あらゆる闇を見通す光の力よ!!!」
どんな闇も意味を成さない。
私の瞳は常に真実だけを見通す。
「貴女の闇を…浄化してあげるわっ!!!」
ホーリークイーンを空に掲げて光の力を集約させる。
そして。
「グロリアスクイーン!!!」
親友の力を具現化したのよ。




