魔姫
「サンクチュアリ!!!!」
矢島さんが作り上げた闇の内部に生み出す私だけの聖域。
この聖域から生まれる神聖な光は矢島さんの闇を切り裂いて試合場全域に光をもたらしていく。
「さあ、ここからが本番よ。」
結界を展開したことによって再び光を取り戻した試合場には私と矢島さんしかいないわ。
当然彼の姿はどこにもなくて、
本来いるべき審判員さえなかったのよ。
…場外に脱出しているのね。
審判員は場外にいたわ。
そして彼は。
…ふふっ。
…そこで見ていたのね。
マールグリナ医術学園が控える待機所の後方にいたのよ。
…ふ~ん。
…彼女付きね。
どういう関係かは詳しく知らないけれど。
彼女の名前くらいは私でも知っているわ。
…貴女も生きていたのね。
…深海優奈さん。
翔子が危険視していた少女として噂話くらいは聞いているわ。
…今は魔王に守られるお姫様ってところかしら?
そういう意味で言えば。
…魔姫ってところね。
共和国の頂点に立つ二人が生きてこの会場にいるのよ。
その事実に気付いたことで自然と笑みをこぼしていたわ。
…ふふっ。
…そう。
…栗原さんは知っていたのね。
マールグリナが関わっている以上、無関係とは言わせないわよ。
…面白いじゃない。
これ以上ないと思えるほど面白い展開だと思う。
…だったら私も加えてもらうわよ。
…貴方の企みにね。
深海優奈さんと栗原薫さん。
その二人に続く3人目の仲間として天城総魔に協力する。
その目的を手にしたことで。
「ホーリークイーン!!!!」
落としていたルーンを魔力で引き寄せて、
しっかりと右手で回収したわ。




