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気が付けば
「…魔女を射抜く魔弾。」
…え?
静かに呟いた矢島さんの言葉が魔術名だと気付いた時には手遅れだったわ。
『ズンッ!!!』と何かが私の体を貫く感覚が全身に広がっていたのよ。
…くっ!?
「つうぅぅぅっ…!!!」
何が起きたのかが分からない。
矢島さんが何をして。
私の体がどうなったのかが何も分からなかったのよ。
…な、何なの!?
全身の痛みによって思考回路が乱れる中で、
ゆっくりと自分の体に視線を向けてみると。
…そ、そんなっ!?
体中に風穴があいていて、
全身から血が溢れ出していたわ。
…早過ぎるっ!?
魔術に対する対応がどうとか、
そんなことを考えているヒマもなかったのよ。
気が付けば重傷を負っていて、
反応することさえ出来なかったの。
…く、ぅっ!?
「何とか…しないと…っ!」
突然の出来事に混乱を感じながらも、
慌てて回復魔術を展開しようとした私の視線の先で。
「………。」
矢島さんがもう一度、血の宝玉を掲げていたわ。




