現時点では世界2位
…ふぅ。
…長野君でもギリギリなんですね。
御堂先輩に次ぐ実力者として長野君なら大抵の相手に圧勝できると思っていたんだけど。
やっぱりカリーナが相手だと誰が出てきたとしても楽な試合なんてできないみたいだったわ。
…はぁ。
「次は私なんですよね…。」
正直に言って、かなり怖い。
先程の試合で文塚さんが私の対戦相手を矢島奈々香さんだと言っていたけれど。
どんな力を隠し持っているのか分からないという意味では彼女も十分に怖いと思うのよ。
…それでも冬月彩花さんが出てこないだけマシなんだけどね。
間違っても冬月彩花さんが出てこようものならきっと泣いてしまうわ。
それくらい本気で怖いのよ。
「次に出て来る矢島奈々香さんはどういう人なのでしょうか?」
あまり詳しいことは知らないから御堂先輩と竜崎さんに問い掛けてみたんだけど。
「僕でも躊躇してしまうほど危険な相手だよ。」
「闇魔術に関しては私以上だと思います。お姉ちゃんでさえ手を焼くくらいだと思いますけど…。現時点では世界2位くらいに思っておいたほうが良いかもしれませんね。」
…うわぁ。
竜崎さんは私が思う以上の事実をやんわりと教えてくれたわ。
「世界…2位…って?」
「あくまでも闇魔術限定の話ですけど。矢島奈々香さんのお姉さんの矢島美咲さんが暫定1位で、矢島奈々香さんは暫定2位でしょうか…。」
「し、姉妹揃って凄い人達なのね。」
「万能型と違って特化型はずば抜けた才能を発揮してきますので、油断した瞬間が最期だと思っておいたほうが良いと思います。」
…うわ~。
「最後じゃなくて、最期なのね…。」
死を予感させる竜崎さんの言葉のせいで本気で恐怖を感じてしまったわ。
…恐すぎ。
「何か特別な対策とかはないの?」
「…どうでしょうか?鈴置さんは闇魔術とは対極とも言える光魔術の使い手ですので、最終的にはどちらの魔術が相手を上回るか、という一点につきると思います。」
…ああ、うん。
…まあ、ね。
「私に出来るかしら?」
「お互いの実力にもよりますけど。鈴置さんが魔法を使いこなせれば十分すぎるほど勝ち目はあると思いますよ。ただ…」
「ただ、何?」
「逆に言えば魔法を使えなければ、彼女には勝てないかもしれません。」
…うぁぁぁ。
「難易度高すぎ…。」
「それくらい危険な相手ですので、淳弥君と同じように命懸けの気持ちで挑まなければ勝利は掴み取れないと思います。」
…はぁ。
…やっぱりそうなるのね。
死を覚悟するくらいの気合いで戦いに挑まなければ勝利は掴めないということよ。
それこそ矢野さんや長野君と同じように。
「覚悟を決めるしかないのね。」
命懸けで戦うしかないみたい。
それ以外には考えられない絶望的な心境に陥ってしまったことで。
「…迷惑をかけてごめんね。」
御堂先輩に謝られてしまったわ。




