もちろんです
「まだ大丈夫です。」
…まだ?
…どういうことかしら?
竜崎さんは倒れた長野君を気にしていなかったわ。
どこか別の場所に視線を向けているのよ。
…どこを見ているの?
竜崎さんの視線を追ってみると。
…ん?
…あれって?
場外へ弾き飛ばされた長野君の後方にウィッチクイーンの姿が見えたわ。
…何か関係があるのかしら?
ウィッチクイーンと長野君の間で何が起きているのかなんて私には分からない。
単に遠く離れているという理由もあるけれど。
それ以上に二人の関係が私には良く分からなかったのよ。
「どうするつもりなの?」
何も分からないから問い掛けてみたんだけど。
竜崎さんにしても具体的な内容は分からないようね。
「たぶん激励ですよ。お姉ちゃんなりの…ですけど。」
…ああ、なるほど。
具体的な何かは分からなくても、
ウィッチクイーンなりの激励だと言われればおおよその推測は出来るわ。
「それで…勝てると思う?」
「もちろんです♪私は淳弥君を信じてますから。」
…そ、そう。
信じるとか信じないという気持ちで結果が変わるかどうかはちょっぴり疑問だけど。
この状況でわざわざ否定する必要はないわよね。
…とりあえずは、まあ。
試合に勝てるのならそれで良いのよ。
だけど肝心の長野君はホンの少し苦笑いを浮かべただけで、
先程までの勢いはどこにも感じられなかったわ。
「ねえ?本当に大丈夫なの?」
今すぐにでも倒れてしまいそうな不安を感じてしまうんだけど。
「まだだ…。まだ負けたわけじゃねえ!」
最後の気力を振り絞る長野君が再び試合場に立ち上がったのよ。




