余分な魔力を消費
「この程度の攻撃で私を越えることは出来ないわよ。」
右手に雷撃を受け止めながら左手で雷鳥を掴み取る。
文塚さんの能力は明らかに長野君を凌駕していたわ。
「それとこれは必要ないから貴方に返すわ。自分の力で吹き飛びなさい。」
両手に掴み取っている二つの力を無造作に振り回した文塚さんは、
掴み取った雷撃を投げ返してから勢いをなくした雷鳥も長野君に向かって投げ飛ばしたのよ。
「ちっ!うぜぇっ!!!」
攻撃のために放ったはずの魔術が自分自身に迫ってくる。
その事実に直面してしまったことで、
長野君は自らの魔術を自らの力で消すという余分な魔力を消費していたわ。
「くそっ!姉貴から聞いてはいたが、予想以上に面倒な結界だな。」
「ふふ~ん!当然でしょ。これが私の力なのよ。」
長野君の攻撃さえも完全に支配できてしまう結界。
あの結界の内部ではどんな魔術でも彼女に支配されてしまうようね。
…あらゆる魔術を支配する領域なのね。
それが完璧な答えかどうかは分からないけど。
御堂先輩とほぼ同等の実力を持っているということよ。
…冬月彩花さん以外にもいるのね~。
カリーナには御堂先輩に匹敵するとんでもない魔術師が二人も存在しているのよ。
…長野君に勝てるかしら?
どんな攻撃も通じない文塚さんを相手にして勝てるかどうか?
着々と膨らんでいく敗北への不安。
もしかしたら負けてしまうかもしれないと思う気持ちが心の中で広がっていく状況で。
「…なら!操作が追い付かない速度で攻撃するまでだっ!!」
長野君が一気に加速したわ。




