ジェノスで一番弱い
膨大な魔力が込められた光の矢が長野君の直前で拡散したことで、
数千数万の刃が頭上から襲い掛かってくる。
「くっ!?が…ぁ…っっっっ!」
一斉に降り注いだ光の矢を防ぎ切れずにまともに攻撃を受けてしまった長野君の体は光の矢の衝撃に負けて勢いよく後方へ弾き飛ばされてしまったわ。
「ぐ…っ!!!くそっ!!」
ゴロゴロと激しい勢いで試合場を転がりながらも必死に体制を立て直して即座に立ち上がろうとする長野君だけど。
「動きが遅いわよ。」
文塚さんは次の光の矢を生み出して容赦なく追撃に出てくるのよ。
「もしかしたら、ジェノスで一番弱いんじゃない?」
「はぁっ!?俺が里沙達より弱いだと?ナメんなっ!!」
あっさりと吹き飛んだ長野君を見て強気な発言をする文塚さんだけど。
長野君も負けじと全力で駆け出していく。
「ちょっとは手加減してやろうかと思っていたが、もう止めだ!お前は全力で叩き伏せるっ!!!」
「へぇ~。やってみれば?」
「ああ!やってやるさ!サンダーバード!!!!!」
お互いの距離を縮めようとして駆け出した長野君の動きを止めるために2発目の光の矢を操作して接近を拒もうとする文塚さんに長野君が精霊を放ったわ。
「破壊力なら俺が上だ!!イクシオン!!!!!!」
光の矢に対して精霊を突撃させた長野君は、
雷鳥の嘴から極大の雷を生み出して光の矢とぶつかり合わせたのよ。
…うわっ!?
鳴り響く爆音。
激しく激突する二つの力。
光と雷の二つの力がぶつかり合った結果は。
「ふふっ…。」
光の矢が敗北して長野君の雷撃が文塚さんの魔術を突き抜けたようね。
「大した威力ね。でも、それだけ。私には届かないわ。」
「何だと?」
「ふふん!ユニバース!!!!!」
急速に迫り来る雷と雷鳥の二つの力を見定めながら新たな魔術を展開した文塚さんは、
試合場の全域を包み込むほどの光の結界を生み出したのよ。
「さあ、貴方はどうする?」
全力で放った光の矢を打ち破るほどの破壊力を秘めた極大の雷に対して右手をかざした文塚さんは、
触れるだけでも危険な雷をあっさりと右手でつかみ取ってみせたわ。
「まずは一つ。」
…そして。
「ついでに貰おうかしら?」
雷と同時に迫っていた雷鳥を今度は左手でつかみ取って、
『ズガンッ!!!』と勢いよく試合場に叩き付けたのよ。




