接し方
「まさか姉貴の諜報に気付くとはな…。」
「ふふん。私達だっていつまでもウィッチクイーンの足元で遊んでいるわけじゃないのよ。」
長野君の戸惑いに対して即座に答える文塚さんからは確かな自信が感じられるわ。
「私達を甘く見ないことね。」
ウィッチクイーンに偽の情報を流したうえでジェノスの作戦を見破ったことで優位に立ったと考える文塚さんは勝ち誇った表情で長野君を見下していたわ。
…ん~。
…何となく翔子に似てるかも?
どこがということはないけれど。
何故か翔子を眺めているような雰囲気を感じてしまうのよ。
…長野君との接し方、かしら?
上手くは言えないけど。
そういう部分かもしれないわ。
…と言うか。
…長野君って常に誰かに見下されているような気がするわよね。
翔子との関係はそんなに詳しく知らないけれど。
芹澤さんにしても。
矢野さんにしても。
和泉さんにしても。
文塚さんにしても。
もちろんウィッチクイーンもそうなんだけど。
勝ち気な性格の女性とばかり縁があるような気がするのよね。
…ある意味で苦労人よね~。
精神的な負荷は誰よりも大きい気がするわ。
…そんな中で竜崎雪さんの存在は貴重よね。
長野君にとっては唯一の安らぎかもしれないわ。
…って、まあ、人のことはどうでも良いんだけど。
長野君の人間関係を考えても何の意味もないのよ。
それよりも今は文塚さんに関して考えたほうが良いわ。
…ウィッチクイーンの諜報に気付いたこともすごいと思うけど。
…そもそもカリーナはどんな作戦を立てたのかしら?
どちらかと言うとカリーナと言うよりは文塚さんと言うべきかもしれないけれど。
偽の情報を流してまで企んだカリーナの作戦は何なのかしら?
そんな疑問を感じていると。
「カリーナの試合順は何を基準に決めたんだ?」
同様の疑問を感じていた様子の長野君が文塚さんに問い掛けていたわ。
「冬月彩花ではなく、お前が出てきた理由はなんだ?」
「…完全制覇よ。」
ジェノスの作戦を見破った上でカリーナが立てた作戦は何かという疑問に対する文塚さんの答えは、
とても単純な言葉だったわ。




