不審な点
「カリーナ女学園からは文塚乃絵瑠選手の登場です!!」
「なっ!?…んだとっ!?」
対戦相手として文塚乃絵瑠さんの名前が宣言された瞬間に長野君の表情が凍りついたわ。
「ば、馬鹿なっ!?そんなはずは…っ!?」
…え?
る長野君の発言になんとなく違和感を感じてしまったのよ。
…どういうこと?
単に予想が外れただけならそこまで驚く必要はないと思うんだけど。
長野君の表情からは驚き以上の戸惑いが感じられるわね。
…もしかして?
1回戦で禁止されたことを密かに続けていたのかもしれないわ。
…芹澤さんに禁止されたはずなのに。
…それでも長野君は対戦相手の試合順を調べていたのかも?
多分それ以外には考えられないわ。
そうとしか思えないほど不審な点が幾つも感じられるのよ。
…だけど。
もしもそれが事実として。
長野君が諜報活動をしていたとするのなら。
…調査した内容と実際の試合順が異なっているっていうことになるわよね?
長野君が諜報に失敗したのか、
それとも試合直前になってカリーナが試合順を変更したのかは分からないけれど。
結果的に3戦目の相手は冬月彩花さんではなくて文塚乃絵瑠さんだったということよ。




