止まらない
「…し、試合終了としますっ!!」
矢野さんが倒れて桜井さんの勝利が確定した状況ですでに決着がついている試合。
それなのに容赦なく矢野さんの体に刃を突き立てる桜井さんの狂気に危機感を感じた係員達が慌てふためきながら試合を止めに入ろうとすると。
「あはっ♪」
プリンセス・ガードを振り回す桜井さんが係員達の接近を拒んでいたわ。
…止まらないのね。
まだ暴走状態から戻れていないのよ。
接近する全ての人々を敵と認識して襲い掛かろうとしてる。
そんな桜井さんがもう一度プリンセス・ガードを振り上げたところで。
「ふふっ、もういいのよ。」
不意に現れた冬月彩花さんが桜井さんに声をかけていたわ。
「落ち着きなさい。」
妖しい微笑みを浮かべながら歩み寄る冬月さんから放たれた暴虐な魔力が試合場を支配した瞬間に。
「…ほえ?」
桜井さんは意識を取り戻したようね。
「あ、あれ…?私…また…?」
「ふふっ、お疲れ様。よく頑張ったわね。」
「え、えっと~?その~…?」
自分のおかれている状況が把握仕切れていないのかしら?
戸惑いを感じさせる表情で周囲を見渡した桜井さんは。
「ご…ごめんなさい…っ!」
謝罪の言葉だけを残して試合場に倒れ込んでしまったわ。




