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THE WORLD  作者: SEASONS
5月14日
4301/4820

血筋だけで言えば

…え~っと。



「今の間は何だったんでしょうか?」



矢野さんが何を考えていたのかが気になって問い掛けてみると。



「まあ、血筋だけで言えば俺や雪も似たような家系だからな。」



長野君はため息混じりに答えてくれたわ。



…ああ、なるほど。



竜の牙の一族として幹部の血を受け継いでいる長野君と竜崎さんも両親の遺伝子を受け継いでいるのよね。



「よく考えてみれば長野君も竜崎さんもすごい人なんですよね。」


「まあ、家系はそうだが個人の才能を考えればそれほどでもないだろ。」



…そうかしら?



「十分すごいと思いますけど…?」


「まだまだ足りないさ。少なくとも俺の実力はたいしたことがないからな。」



「そう…ですか?」



私はそうは思わないけど。


私が何を言っても長野君の気持ちは変わらないでしょうね。



…こういうのは本人の気持ち次第だし。



私が口をだすべきじゃないわ。



「まあ、それは良いんですけど…。桜井麻美さんも強いんですか?」


「以前の戦争で戦死した桜井由美さくらいゆみもそうだが、桜井麻美さくらいまみの祖母であり、現在もカリーナの魔術研究所で所長を勤めている川島郁恵かわしまいくえも歴戦の猛者として幾つもの伝説を持つ殺戮の魔女だったそうだ。」



…と言うことは?



「お母さんだけじゃなくて、お婆さんも凄かったんですか?」


「それこそ米倉宗一郎がビビるくらいの悪鬼だったらしいな。」



…うわぁ~。



「それは想像するだけで怖いですね…。」


「ある意味では姉貴よりも厄介だろうな。」



…はぁ。



ウィッチクイーンよりも危険な存在として世間に認識されていた魔女の血筋がどれほどなのかはまだ分からないけれど。


これから始まる試合を見ることでその才能を知ることが出来るのかもしれないわね。



「矢野さんは桜井さんに勝てるでしょうか?」


「…どうだろうな。正直に言って厳しいかもしれないが、2戦目まで落としてしまえばジェノスはもうあとがなくなるからな。ここは意地でも勝ってもらわないと鈴置達に繋ぐ前に敗退になる。」



…ですよね。



「祈るしかないですね。」


「まあ、そうだな。今は百花が勝つことを祈るしかない。」



…はい。



受け継がれた才能と努力で培った才能。


桜井麻美さんと矢野百花さんの戦いは、

長野君でも先が読めない難しい試合になるようね。


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