どちらかと言えば
「これで私もようやく所持者の仲間入りね!!!」
喜ぶ私だけど、何故か淳弥が冷めた視線で尋ねてくる。
「まあ翔子がいいならそれでいいが、ルーンの名前は決まったのか?」
え?
名前?
そう言えばまだ決めてなかったわね。
どうしようかな~?
扇を眺めながら名前を考えてみる。
だけど悩むことはなかったわ。
扇の名前はすぐに浮かんできたからよ。
『グロリアスクイーン』
まあ、辞典のレッドクイーンから名前を借りたと言えなくもないけど。
それが私のルーンの名前よ。
名前の意味は『光り輝く女王』
この名前こそ、私のルーンに相応しい気がしたわ。
「グロリアスクイーン。それが私のルーンの名前よ」
そう言った瞬間に、淳弥は何故か笑顔を浮かべながら扇に視線を向けてた。
「なるほどな。確かに翔子に相応しい名前かもしれないな」
「ん?どういう意味よ?」
「どう…って、どちらかと言えば、翔子はお姫様ってよりも女王様って感じだろ?」
「はぁ?淳弥、あんた私を馬鹿にしてるの?」
「いやいやいやいや。正直な感想を言っただけだ」
ふざけたことを言ってくれた淳弥は、私に背中を向けて自分の席に戻って行ったわ。
「…ったく」
失礼なやつよね~。
私のどこが女王様だって言うのよ?
まあ、お姫様って言葉が似合わないことくらい、自分でもわかってるけどね。
それでも不満げな表情を浮かべていると、
黙って様子を見ていた龍馬が話しかけてきたわ。
「まあまあ、ひとまずルーンが使えるようになったことは喜ぶべきだよね。あとは実際に使いこなせるようになることだけど、今日も会場に行くつもりかい?」
「う~ん。どうしようかな~?もうすぐお昼だし、とりあえずもう少し考える時間が欲しいかな?」
「そうか。だったら少しゆっくりするといいよ。まあ、ゆっくりし過ぎると彼に睨まれるだろうけどね」
睨まれる?
ん~。
確かに。
問題のあいつに視線を向けてみると、
淳弥は早く仕事を手伝え!と言わんばかりに私に視線を向けていたわ。
「仕事が嫌なら早めに逃げたほうがいいよ。」
淳弥に捕まる前にね、って残してから龍馬も自分の席に戻って行ったわ。
うんうん。
そうするしかないわね。
あまりゆっくり出来そうな気がしないし。
とりあえず移動しようかな?
ここにいると居心地が悪い気がするから、
本棚に本を戻してから龍馬達に挨拶をして会議室をあとにしたわ。
淳弥には、近付かずに…ね。




