遊びたいなぁ
「はあっ…。はぁっ…。ったく…どうなってるのよ…?」
どんな攻撃を仕掛けても一切通じないことで、
芹澤さんは戸惑いを感じている様子だったわ。
「攻撃が通じないって…。こんなのどうしろって言うのよっ!?」
幾つもの大魔術を連続で発動し続けた疲労を表情に表しつつ。
大きく肩を動かしながら必死に呼吸を整える芹澤さんは、
どうにか現在の状況を打開しようとして鋭い目つきで宮野さんを睨みつけてる。
…だけど。
「えへへへ~♪」
どれほど緊迫した状況でも、
宮野さんは微笑みを絶やさずに笑顔を見せ続けているのよ。
「もっと遊びたいなぁ♪♪」
「むっかっつっく!!」
芹澤さんとの試合を遊び程度に考えているのが分かる態度。
そんな余裕の態度が芹澤さんの苛立ちをどこまでも加速させて、
より一層険悪な雰囲気が試合場に広がっていく。
「下っ端魔女のくせに、いつまでも調子に乗るんじゃないわよ!!!」
ついに怒りが限界に達してしまったようね。
本気でぶちギレた芹澤さんがルーンを頭上に掲げて再び精霊を召喚したわ。
「死んで後悔しなさいっ!!!」
ありったけの魔力を込めた全力で炎の鳥を生み出したのよ。
「フェニックス!!!!」
巨大な炎の鳥を一旦上空に飛翔させてから。
「鳳凰の舞!!!!!」
自らの体に炎の鳥を憑依させたわ。
「切れるものなら…切ってみなさいっ!!!」
炎の鳥を身に纏いながら宮野さんに襲い掛かる。
激しく燃え盛る炎を操りながら攻撃を仕掛ける芹澤さんだけど。
「ほぇ~?」
宮野さんは物珍しそうな感じでのんびりと眺めているだけだったわ。
「熱くないんですかぁ?」
「自分の炎で焼けるほど馬鹿じゃないわよっ!!」
自分の精霊で怪我をすることはないようね。
その事実だけを答えてから殴り掛かる芹澤さんだけど。
「えいっ♪♪」
宮野さんはさっと攻撃をかわしてから再び芹澤さんの体に抱き着く。
「あ~。なるほどなるほどぉ♪♪確かに熱くないですねぇ♪」
…は?
「なっ!?どうしてっ!?」
…どういうことなの!?
炎を浴びているはずなのに。
…どうして焼けないの!?
理解できない状況に私も芹澤さんも疑問を感じてしまったんだけど。
「もう少し落ち着いたほうが良いですよぉ♪」
宮野さんは楽しげに忠告していたわ。
そのうえで。
「それと~♪もう飽きちゃったから勝っちゃいますね~♪♪」
動きを止めてしまった芹澤さんに興味がなくなったのか、
まるで暇つぶしとでも言いたげに勝利を宣言してきたのよ。
「弱い人は戦わないほうが良いですよぉ♪」
「なっ!?誰がっ!!!!」
「ジェノスの下っ端お姉さんはここで脱落してくださぃ♪♪」
「こ、殺すっ!!!!!!!!」
宮野さんの挑発をまともに受けて見境をなくした芹澤さんがブチ切れる。
「燃え尽きなさいっ!!!」
自分の体に抱き着いている宮野さんを焼き尽くすために。
「オール・フレイム!!!!!」
自爆覚悟で炎の力を暴走させてしまったのよ。




