確実に、な
「ジェノス魔導学園にとって年間制覇への夢をかけた重要な初戦となる第1試合が、ついに始まりますっ!!」
芹澤さんと宮野あずささんが試合場に上がって開始線に立ったことで試合の進行が着々と進んでいく。
「これまでの戦績においては4戦3勝0敗1分けの芹澤選手ですが、対する宮野選手は2戦2勝という好記録を持っています!!試合数に差はありますが、全勝の記録を持つ宮野選手を相手にして芹澤選手はどんな試合を展開するのかが最大の見どころかも知れませんっ!!」
「…うるさいっての…。」
係員の発言に対して小さな声で反論する芹澤さんの表情からは、
不機嫌そのものという雰囲気が出ているわね。
だけど宮野あずささんはお気楽な笑顔を浮かべながら楽しそうな雰囲気を見せているわ。
…どうなのかしら?
芹澤さんが負けるとは思わないけれど。
そんな簡単に勝てるような楽な相手でもないと思うのよね。
…ギリギリで勝利かな?
そんな展開を予想していると。
「ったく、里沙のやつ、最後まで俺の忠告を無視しやがった。」
長野君は言葉に苛立ちを込めながら芹澤さんに視線を向けていたわ。
「残念だが里沙は負ける。確実に、な。」
「…どうしてですか?」
どうしてそこまではっきりと断言できるのかを問い掛けてみると。
「宮野あずさはファントムマスターだ。そしてその実力は…」
長野君はホンの少しだけ言葉を区切ってから。
「偽りだ。」
彼女の実力を断言したのよ。
…実力が、偽り?
言葉の意味が理解できずに首を傾げて悩んでしまったわ。
「………。」
そんな私を見ていた長野君が説明を続けようとしたところで。
「それでは試合始めっ!!!!」
芹澤さんの試合が始まってしまったのよ。




