それとも?
………。
マリア・パラスと乃絵瑠の二人がそれぞれの学園側へ運び込まれてからしばらくすると。
「それでは続きまして準決勝戦第2試合目を行わせていただきます!」
係員が次の試合へと進行を始めたわ。
「続く2試合目にはデルベスタ多国籍学園からピーター・フロンド選手!そしてカリーナ女学園からは矢島奈々香選手の登場ですっ!!!」
「頑張れピーター!!!」
「次こそデルベスタが勝つんだーっ!!」
「絶対に負けるなー!!!!」
係員の呼び掛けに応じてピーター・フロンドと奈々香だけど。
二人が試合場に向かい始めてからすぐに飛び交い始めた声援の多くは、
今でもまだデルベスタ側を応援する声が大多数を占めているようね。
「応援してるぞーっ!!」
「ピーター君、頑張って~!!!」
会場の各地から続々と届く声援だけど。
肝心のピーター・フロンドはあまり声援の内容を気にしていないように見えるわ。
…マリア・パラスが敗北したことで緊張感が増したのかしら?
あるいは周囲の喧騒なんて気にしている余裕はないと自分に言い聞かせているのかもしれないわね。
…ふふっ。
…可愛らしいわね。
以前とは違って幼さは感じさせないものの。
緊張しながら歩みを進める姿はまだまだ可愛らしく思えるわ。
…この2週間であの子がどこまで戦えるようになったのか楽しみね。
奈々香と互角に戦える程度に成長しているのかしら?
それとも変わったのは雰囲気だけで実際の実力はあまり変わっていないのかしら?
…それとも?
私の予想を超えて奈々香を倒せるほどの戦士に成長している可能性もあるかもしれないわ。
そんな微かな期待を感じさせるピーター・フロンドが試合場に上がるのとほぼ同時に、
奈々香も試合場に立ったのよ。




