任せて?
「シャイニング・シェル!!!」
ルーンに魔力を集約させて極大の光の矢を放つ。
光魔術において最大級の破壊力を感じさせる極大の光は砲弾とも呼べるほどの大きさを誇りながらも、
乃絵瑠の速射能力によって回避不可能な破壊の一撃としてマリア・パラスへ襲い掛かっていったわ。
「一撃必殺っ!!!!」
自らの一撃に自信を持つ乃絵瑠だけど。
「…凄いわね。」
攻撃を受けるマリア・パラスは、
驚きの表情を浮かべながらも即座に防御結界を展開している。
「ライト・ウォール!!!」
まず一手目に光の壁を生み出して乃絵瑠の一撃をせき止めた直後に。
「ブラック・アウト!!!」
黒い霧を生み出して極大の光の矢を闇の内部へと閉じ込めてみせたのよ。
『シュウウゥゥゥ………。』と小さな音を立てながら霧の内部で拡散する光。
乃絵瑠が放った光の矢はマリア・パラスの霧に負けて完全に消失してしまったようね。
「さすがに今の攻撃をまともに受けていたら怪我なんていう言葉じゃ済まなかったでしょうね。」
乃絵瑠の実力を認めるマリア・パラスだけれど。
それは裏をかえせば乃絵瑠の攻撃は通じないと言っているに等しい発言になるわ。
…ふぅ。
…これはまた手詰まりかしら?
最も得意とする光魔術を封じられてしまったら、
乃絵瑠の攻撃手段は大きく限定されてしまうからよ。
…相手は大塚義明ではなくて、あらゆる属性を極める大賢者なのよ。
…その相手に光魔術を封じられてしまったら乃絵瑠に勝ち目はないわね。
叱咤するつもりで乃絵瑠に思考を向けてみると。
「………。」
乃絵瑠は小さく手を動かして再び合図を送ってきたわ。
…任せて?
その合図が何を意味するのか?
その答えの真意をついに目にする時がきたのよ。




