想いは同じ
「貴女には悪いけれど、ここから先へは進ませないわよ!」
冷静な態度を保ちながらも強気な発言のマリア・パラスが光り輝く一本の杖を生み出す。
「バゼラード!!!常盤沙織と同格の力であり、彼女を越える唯一の力。このルーンこそが私の誇りよ!」
絶対の自信をもって立ちはだかるマリア・パラスは、
しっかりと両手で杖を握り締めながら乃絵瑠に向けて構えたわ。
「杖が戦闘に不向きなんて思わないほうが良いわよ。」
全く揺らぐことのない態度を貫きながら忠告するマリア・パラスだけど。
「…私は別に何も思わないけどね。」
乃絵瑠は落ち着いた雰囲気で応えながら光り輝くルーンを生み出している。
「スピードスター。私が扱うルーンも遠距離専用だなんて思わない方がいいわよ。」
強い光を放つ弓を構えながら攻撃の準備を整える。
そんな乃絵瑠の動きを眺めるマリア・パラスは微かに笑みを浮かべていたわ。
「ふふっ、お互い様かしらね。」
どちらも一歩も譲らない想いは同じ。
そしてどちらも一歩も退けないのは同じ。
「だったらここからは…お互いの実力でお互いの意志を示しましょう。」
話し合いを放棄して戦闘へと意識を切り替える。
そんな彼女の決断に呼応するかのように。
「………。」
乃絵瑠は口を閉ざして両手に魔力を集め始めたのよ。
…ここから始まるのね。
大塚義明との試合によって一段階成長した乃絵瑠の真の実力がついに見れるのよ。
…さあ、見せてもらうわよ。
小さな期待を抱く私の視線の先で。
「行くわよっ!!!」
乃絵瑠が攻撃を宣言したわ。




