手を止めたら負け
「スター・レイン!!」
あとのことは一切考えずにありったけの魔力を込めて光の矢を放つ。
そんな乃絵瑠の決死の攻撃を大塚義明も連続でルーンを放って次々と撃ち落としていく。
「ふっ、大した覚悟だな。」
余裕の笑みを浮かべる大塚義明だけど。
お互いに辛い状況なのは間違いないはず。
高速で迫る光の矢を見定めて迎撃を続ける大塚義明の魔力は乃絵瑠の計画通りに確実に減少しつつあるからよ。
…このまま押し切れるかしら?
一瞬でも攻撃の手を止めれば攻守が入れ替わってしまう。
大塚義明は徹底的に乃絵瑠に狙いを定めてくるはずよ。
…反撃を許さずに攻撃を続けること。
…それ以外にこの状況を覆す方法はないわ。
反撃できないほど徹底的に追い詰めなければ、
今の乃絵瑠では到底戦い抜けるとは思えないからよ。
…手を止めたら負けね。
体力的に限界が近い今の乃絵瑠では魔術を回避することも瓦礫の弾丸に耐えることも出来ないはず。
…全力で攻め続けなさい。
強く強く想いを込めながら乃絵瑠の後ろ姿を眺めていると。
「スター・レイン!!」
ついに乃絵瑠が最後の一撃を放ったわ。
「これで…どうっ!?」
意識を失わないギリギリのところまで勝負に出た乃絵瑠だったけれど。
「…う、うぁぁっ!?」
大塚義明が放つルーンによって全ての光の矢が飛散してしまっていたわ。




