『負けは無い』
「まだ諦めないわっ!」
絶望的な状況の中でも逃亡を諦めた乃絵瑠が再びルーンを構えて大塚義明と戦う意志を示す。
「例え絶対に勝てないとしても敗北なんて認めないっ!!!」
…ええ、それで良いのよ。
カリーナを代表する生徒として。
そして私が認める魔女の一人として。
「私は絶対に逃げないわっ!!」
乃絵瑠は戦闘の続行を宣言したのよ。
「カリーナは無敗の学園よっ!!その誇りを失わせはしないわ!!」
「無敗か…。残念だがそれはお前の敗北によって崩されることになる。」
「…っ!私は負けないっ!!例え勝てないとしても、負けるつもりなんてないわ!!」
…ふふっ。
勝てなくとも負けないと宣言する乃絵瑠の狙いはアレかしら?
「引き分けに持ち込むつもりか?それで無敗記録を維持できるとは思えないがな。」
…ええ、そうね。
大塚義明もすぐに察した様子だったわ。
「勝てなければ意味がない記録だろう?」
「そんなことはないわ!負けなければ良いのよ!引き分けでも無敗に間違いはないわ!!」
…あらあら。
『負けは無い』
それを無敗と呼ぶのなら。
…確かにそれも一つの考えね。
全勝記録は止まるけれど。
無敗記録は続いていくのよ。
…まあ、それでも良いわ。
乃絵瑠が望むのならこれ以上私が言うべきことは何もないわ。
…だったら引き分けを勝ち取ってみなさい。
ただ、その目的を達成するだけでも乃絵瑠にとっては厳しい戦いに間違いはないでしょうね。
…死ぬ気で乃絵瑠の信念を示すのよ。
大塚義明を驚かせるほどの強い信念を。
そして私を満足させるだけの完璧な試合を。
…見せてみなさい。
「ええ!任せて彩花っ!!彩花の期待に応えてみせるわっ!!」
………。
これから始まる試合の内容を楽しみにしながら眺めていただけなのに。
乃絵瑠は私の考えを把握したかのように自信をもって宣言していたのよ。




