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無骨な杖
「全力で叩きのめして見せるっ!!!」
試合開始早々に両手に魔力を集約させてルーンを発動する八木真奈美の手に生まれたのは、
美しさや可愛らしさとは無縁で威圧的な形状の杖だったわ。
…あらあら?
見る者全てに畏怖を感じさせる破滅的な神々しさを感じる杖だけど。
八木真奈美のルーンはそんな形じゃなかったはずよ。
「ルーンの形が以前と変わってるわね。いつからそんな無骨な杖に変わったの?」
「ふんっ!!貴女の質問に答える義理はないわっ!!」
…まあ、そうね。
私の質問には答えずに。
まがまがしい雰囲気を放つ杖を天高く掲げる八木真奈美の杖に誰もが視線を向けた瞬間に。
「ゴー・トゥー・ヘル!!!!」
私の知らない魔術が試合場全域に広がっていったわ。




