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THE WORLD  作者: SEASONS
5月14日
4187/4820

絶望はどんな色

「さあ!これより試合を始めたいと思います!!」



私達が開始戦に立ったことで係員が進行を開始したわ。



「今回の魔術大会もいよいよ二日目の第3回戦まで進みました!!上位16校から8校までを絞り込む激戦を勝ち抜くのはどの学園なのか!?そして見事に決勝戦まで駒を進めて優勝の二文字を手にするのは一体どの学園なのか!?それぞれの想いを胸に、ここまで勝ち上がってきた各学園のさらなる活躍に大きな期待を込める中で…ついにこの学園の登場ですっ!!!!!」



「「「「「頑張れーーーっ!!!!」」」」」


「「「「「応援してるぞーー!!!!」」」」」


「「「「「カリーナ頑張れ~!!!!」」」」」


「「「「「ヴァルセムこそ頑張れー!!」」」」」



馬鹿なくらいに張り切って必死に試合を盛り上げようとする係員によって観客席からの声援がうるさいほどに飛び交っていく。



「第3回戦の組み合わせにおいて、これほどまでに注目を集める試合が他にあるでしょうか!?いえ!!他にあるはずがありませんっ!!」



くだらない前口上を繰り返す係員の進行がとめどなく続いて。



「常に上位4校の一角として大会を盛り上げてくれていたヴァルセム精霊学園と、今回の大会において唯一『無敗』で勝ち続けているカリーナ女学園がついにぶつかる注目の一戦!この試合において、両学園は一体どんな試合を見せてくれるのでしょうか!?3回戦において最も注目すべきこの大事な試合!まっさきに名乗りを上げたのはヴァルセム精霊学園の八木真奈美選手です!!」



係員が大きな手振りを加えながら八木真奈美の名前を宣言した瞬間に。



「「「「「頑張れ八木ーーっ!!!」」」」」


「「「「「真奈美ちゃんガンバっ!!!」」」」」


「「「「「絶対に勝って~!!!!」」」」」



ヴァルセムを応援する観客達が一斉に声援を送り始めたわ。



そしてその声援の中には。



「最後まで気を抜くなよ。」


「無理はしないようにね。」


「頑張れ真奈美~!!!」



大塚義明や成瀬智久に金田敦子の声もあったわね。



「「「「「頑張れーーー!!!!!」」」」」


「「「「「負けるなーー!!!!!」」」」」



終わる様子もないままとめどなく降り注ぐ数々の声援。


その声援を一身に受けながら私と対峙する八木真奈美は、

本気で私に勝つつもりで勝負を挑んで来るようね。



「心配してくれなくても私が勝つわ!!」



…ふふっ。


…面白いわね。



でも。



…その強気がどこまで続くかしら?



強気な態度で立ちはだかる八木真奈美だけど。


私に敗北して絶望に打ちひしがれた時に、

表情を歪めて悔しがる瞬間を想像するだけで自然と気持ちが高ぶってくるわ。



…ふふっ。


…貴女のその顔を絶望に染めてあげるわ。



相手が強気であればあるほど。


叩きのめした瞬間の高揚感は飛躍的に膨らんでいくものよ。



…貴女の絶望はどんな色かしら?



対峙する八木真奈美を見つめながら黙って試合の開始を待っていると。


係員が私の名前を宣言しようとしていたわ。



「対するカリーナ女学園からは冬月彩花選手の登場ですっ!!これまでの大会においてはそれほど注目を浴びていなかったカリーナ女学園ですが、今回の大会においては唯一『無敗の学園』ということで非常に注目が集まっていますっ!!!」



………。


…今回の大会では、ね。



昨日の試合は奈々香とあずさと未来の活躍によって全ての試合に勝利しているからよ。


だから無敗と呼ばれるのは当然の結果ではあるけれど。


そんな些細な出来事なんて私にとっては何の価値もないわ。



…最終的に優勝を手に入れられるかどうか?



私達に必要なのはその結果だけだから。


それまでの過程なんてどうでもいいわ。



極論してしまうのなら、

例え何回負けてもいいとさえ思っているのよ。



だけど。



頂点をつかみ取るという想いだけは絶対に失わない。



…全ての魔女にとって最高の称号であるウィッチクイーンの名を手に入れることが最大の目的よ。



だからこの程度の試合で敗北するつもりはないし。


そんなぶざまな姿を長野紗耶香に見せるつもりもないわ。



…そもそもの前提として、貴女程度では話にならないのよ。



相手が八木真奈美では私が本気を出すほどの戦いにはなりえない。



…私が見ているのは長野紗耶香であって。


…決して貴女ではないのよ。



障害と呼ぶのも哀れなほどの弱者を見つめながら、

試合が始まる前に私のルーンを披露してあげることにしたわ。


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