待っていたのは
「今この場にいる者達。そして今ここにいない者達。その全ての想いに対して、きみがどういう決断を下すのか?それはきみ自身が決めれば良い。」
………。
「だが、それでもまだきみが迷いを感じるというのなら…これだけは言っておく。」
ただただ泣くことしか出来なくて、
何も言えなくなってしまった情けない僕だけど。
「俺はきみを信じている。」
桐島さんは最後まで応援し続けてくれていた。
「さあ、あとはきみ次第だ。」
………。
「僕は…っ。」
「想いをさらけ出せば良い。そして弱くて情けない姿をさらけ出せば良い。それでも…それでもまだきみを信じてくれる者達がいるとすれば…それが真の仲間というものだっ!!」
…っ!!!
桐島さんの言葉の一つ一つが僕の心に突き刺さって、
自分でも抑えられない気持ちを感じてしまう。
そして。
情けないくらい大きな声で泣いてしまったんだ。
「僕は…っ!僕は…っ!!」
「悔しさも悲しみも全てをさらけ出せ!!そして自分の気持ちを打ち明けろ!!!」
「僕は…っ!!!」
…僕は。
「僕はみんなが思うほど強い人間なんかじゃないんだっ!!僕はいつだって臆病で!いつも誰かの視線を気にしてばかりで!!周りの期待に応えるためだけに強がっていただけの情けない男なんだっ!!」
…ついに言ってしまった。
今までずっと言えなかった言葉を、
ついに口に出してしまったんだ。
「本当はずっと怖かったんだ…。みんなに置き去りにされるのが…。みんなに見捨てられるのが…。ずっとずっと怖かったんだ…っ!!」
一人になんてなりたくなかった。
いつもみんなに傍にいてほしかった。
…だから。
だから僕は自分を犠牲にしてでもみんなを守れる男でいたかったんだ。
「だけど本当の僕は臆病で…。御堂龍馬と向き合う勇気さえないちっぽけな人間なんだよっ!!」
本当は魔術大会に参加することさえ怖かった。
御堂龍馬と戦うことが何よりも恐怖だったんだ。
「僕は弱くて情けない人間で…。こんな僕がどう頑張ったって彼には勝てないんだっ!!」
決して乗り越えられない絶望的な障害に対して僕に出来ることなんて何もない。
「だけどみんなに無理だと思われるのが怖くて…。僕では無理だと諦められてしまう事が怖くて…。必死に戦うしかなかったんだっ!」
確実に負けると分かっていても戦い続けるしかなかった。
みんなの期待に応えるために戦い続けるしかなかったんだ。
「だけど本当は…ずっと…ずっと怖かったんだよ…っ。」
今まで抑えてきた感情。
その全ての想いをさらけ出したあとに僕を待っていたのは。
「「「「「………。………。………。」」」」」
完璧な静寂だった。




