自分の将来も含めて
時刻は午後7時30分。
杞憂さんと唯王女との話を終えた僕は、
シェリルと桐島さんと一緒に会議室を退室してグランパレスの通路に出た。
…ふぅ。
「何だかすごく疲れた気がするよ…。」
それが正直な気持ちで、
どこから気持ちの整理をつければ良いのかも分からない。
「考えなければいけないことが多すぎて混乱してしまいそうだよ。」
…と言うか。
すでに混乱状態だけどね。
それでも会議室を出たことで少しは気持ちが楽になったような気がする。
「正直に言ってどうすれば良いのか自分でもまだ分からないけど…。だけどちゃんと自分の将来も含めて真剣に考えてみるよ。」
シェリルへの愛を選ぶのか?
それとも唯王女の想いを受け入れるのか?
自分自身の将来も含めて色々と考えてみたいと思うんだ。
「シェリルも桐島さんも…長時間付き合ってもらってありがとうございました。」
結局決断を出せなかった僕のためにずっと傍にいてくれた二人に感謝の気持ちを伝えたことで。
「まあまあ、時間なんて気にしなくて良いわよ。それなりに面白い話が聞けたし、国の未来を左右するような重要な会議に参加できることなんてそうそうないしね。問題は京一がどういう決断を下すかだけど…まあ京一なら大丈夫でしょ。」
あくまでも唯王女との結婚を選ぶと信じるシェリルは明るい笑顔を浮かべながら僕に小さく手をふってくれた。
「それじゃあ私は行くわね。一応学園のみんなが待ってくれてると思うし。グランバニアとの試合に負けたから明日も最下位決定戦にでなきゃいけないみたいだし。今日は部屋に戻って休ませてもらうわ。」
「あ、ああ、ごめんね。」
「ふふっ。別に謝る必要はないわよ。まあさすがに次も負けることはないと思うから、明日の会議?には私も出席させてもらうわね。」
「ああ、よろしく…。」
…はぁ。
明日の正午までに僕は決断を出さなければいけないんだ。
「ちゃんと考えてみるよ。」
「ええ、それじゃあまた明日ね。」
小さく手を振ったあとで微笑んでくれたシェリルは、
いつもと同じように優雅に颯爽と立ち去ってしまった。




