考え直したい
…僕は。
…僕の理想は。
一体どこにあるんだろうか?
シェリルとの未来?
御堂龍馬を越えること?
…それとも。
全く別の何かだろうか?
そんな根本的なことさえ分からなくなってきた。
…考えれば考えるほど分からなくなってくるよ。
思考の迷宮に入ってしまって抜け出せない心。
今の僕には答えを出す余裕なんてなかった。
…もう一度考え直したいな。
決断を焦るよりも今はただ悩む時間が欲しいと思う。
…だから。
「ごめん、シェリル。やっぱり今はまだ決められないよ。」
結論を先送りにしてシェリルに頭を下げることにした。
「シェリルが応援してくれる気持ちは十分に分かった。だから…もう少しだけ考える時間が欲しいかな。」
まだ考える時間が欲しいと思う気持ちが甘えなのかもしれないけれど。
「ええ、まあ、良いんじゃない?」
シェリルは僕の甘えを許してくれたんだ。
「結婚となれば色々と準備も必要になってくるでしょうし、他にも考えなければいけないこととかも出てくるでしょうしね。一応、一生に一度のことなんだから思いっきり悩んでみれば?まあ、京一の答えは分かりきってるけどね。」
………。
「それでも良いんでしょ?」
僕の道は確定していると思い込んでいるシェリルは、
杞憂さんに振り向いてから僕の代わりに尋ねてくれていた。
「今すぐじゃなくても良いんでしょ?」
「あ、ああ。特に問題はない。ただ、こちらにも色々と事情があるのでな。出来れば明日の正午までには結論を出してもらいたい。」
「明日の正午?」
「ああ、そうだ。今はまだ内容は言えないが、明日の正午に行われる決勝戦の後に各国の代表が集まって『とある決議』が行われる予定になっているのだ。」
…決議?
「まあ共和国の内部事情だと考えてもらっていい。その内容に関しては決議の直後に情報が公開されるだろうからそれまで待ってもらうしかないのだが、その会議の場において澤木君の国王就任の最終決議と…可能であれば唯王女との正式な婚約も発表したいと考えている。」
「ああ、なるほどね。…と言うことは、その決議までに京一の同意が必要なわけね。」
「そういうことだ。」
「うん。まあ、一晩あれば十分だと思うから間に合うんじゃないかしら?」
…そうだろうか?
正直に言って自信は全くないけれど。
僕に与えられた時間は約20時間程度のようだった。
その事実が明らかになったことで。
「あとは京一次第よ」
シェリルは結婚の話を少しだけ先伸ばしにしてくれたんだ。




