考えすぎなのかな
「京一。」
………。
シェリルの呼び掛けに対して僕は何も答えられずにいる。
「ねえ、京一。」
………。
とても温かくて。
とても穏やかで。
優しさだけを感じさせるシェリルの声が。
今の僕には絶望だけを感じさせてしまうからだ。
「京一。」
シェリルが僕を見ている。
そしてシェリルが僕に話し掛けてくれている。
…それなのに。
それなのに全然嬉しくなかった。
…シェリル。
どうすれば僕の想いがシェリルに伝わるのだろうか?
どうすれば僕の想いがシェリルの心に届くのだろうか?
何もかもが分からなくて、
恋い焦がれるこの想いだけが心の中で渦巻いてしまう。
…僕はシェリルが欲しいんだ!
その言葉さえ言えれば全てが終わるはずだ。
それなのにその言葉がどうしても言えずにいる。
…シェリルっ。
どうしてシェリルはこれほどまでに僕を遠ざけようとするのだろうか?
その理由も分からないままだ。
…僕の考えすぎなのかな?
今ここで告白してしまえばシェリルを手に入れられるのだろうか?
…今ここで。
全ての気持ちをさらけ出してしまえば。
…僕は。
シェリルの心を動かせるんじゃないだろうか?
そんな期待を信じてシェリルの瞳を見つめてみると。
…っ!?
失意とでも呼ぶべき悲しみの色が浮かんでいるのが見えてしまったんだ。




